演題抄録

口演

開催概要
開催回
第58回・2020年・京都
 

当院における膵神経内分泌腫瘍に対する外科的治療の考え方

演題番号 : O29-2

[筆頭演者]
阿部 紘大:1 
[共同演者]
北郷 実:1、八木 洋:1、阿部 雄太:1、長谷川 康:1、堀 周太郎:1、田中 真之:1、中野 容:1、横瀬 崇寛:1、嶋根 学:1、北川 雄光:1

1:慶應義塾大学・外科

 

【背景】膵・消化管神経内分泌腫瘍に対する治療ガイドラインが2019年に改訂され, 膵神経内分泌腫瘍(Pancreatic neuroendocrine neoplasm: PNEN)に対する治療方針として、機能性PNENであればサイズに関わらず切除適応であるが, 2cm以下の非機能性PNENでは切除適応とリンパ節郭清を含む術式で未だ議論されている.今回, 当院におけるPNENの治療成績と治療方針を報告する.
【対象・方法】
1993年1月から2019年12月に当院で手術を施行したPNEN 84例を対象とし, 臨床的特徴と術式を含めた長期成績を検討した.
【結果】年齢中央値は57.5(18-84)歳であり, 男性48例, 女性36例, 腫瘍径中央値は17(3-135)mm, 8例に多発性内分泌腫瘍1型を, 5例にVon-Hippel-Lindau病を認めた. 機能性PNENは26例(31%), 非機能性は58例(69%)となり, 術式は膵頭十二指腸切除が27例, 膵体尾部切除が42例, 膵全摘が3例, 核出術が12例であった. 切除検体の病理学的診断でWHO2017分類に基づいたGradeはG1/G2/G3がそれぞれ50/ 32/ 2.リンパ節転移を認めた症例は17例(19%)であり, 腫瘍径の中央値は42mm(7-135mm)であり, リンパ節転移を認めなかった症例の腫瘍径15mm (3-60mm)と比し有意に大きかった. なお, リンパ節転移部位は1群リンパ節への転移のみであった. 術後再発は12例に認め, 肝転移が10例, 骨転移が1例, 残膵再発1例を認め, 腫瘍径は中央値28.5mm(15-135mm)と, 無再発例15mm(3-130mm)と比較して有意に大きかった. なお, 核出術を行った12例は腫瘍径の中央値12mm(7-26mm)であり全例無再発生存中であるが, 6例(50%)でGrade B以上の膵液瘻を認めた. 全生存率は5生/10生がそれぞれ89.7%/78.5%であり, 機能性と非機能性では有意差が無かった. さらに, 1cm未満の21例は全例無再発生存中であり, 1~2cmの5生も96.4%と良好であったが, 2cmを超えると5生/10生が79.4%/60.4%という結果となった.
【結語】腫瘍径が2cmより大きいPNEN症例 はリンパ節転移や再発を認める傾向にあり定型的手術が必要であるが, リンパ節郭清はD1郭清でも十分である可能性が示唆された. 1~2cmの腫瘍では縮小手術の可能性が示唆されるが部分切除(核出術)では膵液瘻などの合併症が懸念された. 最後に1cm以下の腫瘍は全例無再発生存中であり, 非機能性PNENに関しては経過観察の選択肢も示唆されたが, ガストリノーマとグルカゴノーマは小さい腫瘍径でもリンパ節転移を高頻度に起こすため定型手術が必要と考えられた.

キーワード

臓器別:膵臓

手法別:手術療法

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