演題抄録

口演

開催概要
開催回
第58回・2020年・京都
 

膵管内乳頭粘液性腫瘍におけるhigh-grade dysplasiaの術前予測因子

演題番号 : O29-1

[筆頭演者]
今井 寿:1 
[共同演者]
田中 秀治:1、東 敏弥:1、今井 健晴:1、木山 茂:1、田中 善宏:1、奥村 直樹:1、松橋 延壽:1、村瀬 勝俊:1、高橋 孝夫:1、吉田 和弘:1

1:岐阜大学附属病院・消化器外科

 

【緒言】膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の手術適応については,2017年にIPMN国際診療ガイドラインが改訂され,手術適応とされる病変は制限されつつある.しかし,浸潤癌へ進行する前に切除することが必須であり,high-grade dysplasia(HGD)レベルを予見することは非常に重要となる.本研究では,最終的に良性の膵管内乳頭粘液性腺腫(IPMA)と診断された症例とHGDと診断された症例の術前パラメータの違いについて調査した.【方法】2010年1月1日から2018年12月31日までに当院で膵切除術を施行したIPMN症例のうち,病理組織学的にIPMAと診断された症例とHGDと診断された症例を対象とし,両群間での患者背景,術前血液データ,術前画像所見の違いを比較検討した.【結果】対象は34例で,主膵管型と混合型がそれぞれ7例,分枝膵管型が20例であった.IPMAが22例,HGDが12例であり,病変の主座は,IPMAで13例(59.1%)が膵体尾部であったのに対し,HGDは全例膵頭部が主座の病変であった.年齢の中央値はそれぞれ70歳(55-82歳),72歳(50-81歳)と差はなかったが,IPMAは女性が3例(13.6%)であったのに対し,HGDでは6例(50.0%)と有意に高率であった(p=0.022).糖尿病症例はIPMAで2例(9.1%),HGDで3例(25.0%)と有意差はなかったが,HbA1cの中央値は,それぞれ5.8%(5.0-6.7%),6.0%(4.7-12.3%)とHGDで高値の傾向があった(p=0.076).術前の腫瘍マーカーは,CEAとDUPAN-2には両群間の差はなかったが,CA19-9の中央値はIPMAで6.9 U/mL(0.1-38.9 U/mL),HGDで12.2 U/mL(0.1-137.7 U/mL)とHGDで有意に高値であり,CA19-9が異常高値の症例は,IPMAで1例(4.5%)であったのに対し,HGDでは4例(33.3%)と有意に高頻度であった(p=0.024).術前画像所見の比較では,嚢胞径,壁在結節の有無,造影される壁在結節の有無,壁在結節の長径,主膵管径には両群間での差はなかったが,嚢胞壁肥厚はIPMAで2例(9.1%)に認めたのに対し,HGDでは5例(41.7%)と高率であった(p=0.025).IPMAは1例の他病死症例以外は全例生存中であり,HGDも再発は1例のみであり,生存率の差はなかった.【結語】今回の検討では,良性とHGDの鑑別の指標として,嚢胞壁の肥厚以外の特徴的な画像所見はなく,むしろCA19-9のような腫瘍マーカーの上昇のほうが重要であると考えられた.

キーワード

臓器別:膵臓

手法別:手術療法

前へ戻る