演題抄録

口演

開催概要
開催回
第58回・2020年・京都
 

がん診断時のDVT併発リスク因子の検討;Cancer-VTE Registry

演題番号 : O8-5

[筆頭演者]
大橋 靖雄:1 
[共同演者]
池田 正孝:2、國頭 英夫:3、笹子 三津留:4、奥坂 拓志:5、向井 博文:6、藤原 恵一:7、中村 真潮:8、大庭 真梨:9、木村 哲也:10、指宿 慶:10、左近 賢人:11

1:中央大学・理工学部・人間総合理工学科、2:兵庫医科大学・下部消化管外科、3:日本赤十字社医療センター・化学療法科、4:淀川キリスト教病院・外科、5:国立がん研究センター中央病院・肝胆膵内科、6:国立がん研究センター東病院・乳腺・腫瘍内科、7:埼玉医科大学国際医療センター・婦人科腫瘍科、8:陽だまりの丘なかむら内科、9:東邦大学・社会医学講座医療統計学分野、10:第一三共株式会社・メディカルアフェアーズ本部メディカルサイエンス部、11:大阪府立病院機構大阪国際がんセンター

 

【背景】がん患者では静脈血栓塞栓症(VTE)の発症率が高いことが知られている。しかし国内では、がん患者を対象としたVTEの大規模な前向き研究報告はなく、がん種とVTEの関係やその併発リスク因子など、がんとVTEの実態は十分明らかではない。そこで我々は、日本人がん患者を対象とした多施設共同・前向き登録研究であるCancer-VTE Registryを実施した。研究の目的は、登録時のVTEの併発率、VTE併発のリスク因子、VTEの治療実態、および1年間の前向き観察期間における新規発症イベント(症候性VTE、出血、脳梗塞/全身性塞栓症、全死亡)を明らかにすることである。
【方法】大腸がん、肺がん、胃がん、乳がん、婦人科がん、及び膵がんと診断された患者1万人を目標に登録を行った。がん治療開始前にVTEスクリーニングを実施し、適格基準を満たしている患者を登録対象とした。スクリーニングでは下肢静脈画像診断の結果に基づき、VTE併発の有無を調査した。VTEは肺塞栓症および下腿限局型を含むすべての深部静脈血栓症(DVT)とした。但し、D-dimer正常例では画像診断を必須とせず、VTE併発なしとして扱った。登録後は日常診療下にて1年間の観察を行った。今回は登録時データを用いた、がん診断時のDVT併発リスク因子を報告する。リスク因子の解析には多変量ロジスティック回帰モデルを用いた。
【結果】登録された9726例のうち3661例で下肢静脈画像診断が実施され549例がDVTを併発していた。下肢静脈画像診断が実施された患者での解析結果を以下に示す[オッズ比 (95%CI, p値)]。D-dimerが2.0μg/mL以下と比べ2.0μg/mL超6.0μg/mL以下 2.5(1.9-3.2, <0.001)、6.0μg/mL超 7.1(5.2-9.8, <0.001)。女性 2.3(1.9-2.9, <0.001)、65歳以上 2.1(1.6-2.7, <0.001)、遠隔転移あり 1.3(1.1-1.7, =0.0132)、VTE既往あり 16.0(9.1-28.2, <0.001)、4日以上の臥床 2.4(1.4-4.1, =0.0011)、ヘモグロビン10g/dL未満 1.6(1.2-2.0, <0.001)であった。
【結語】D-dimer値が高い、女性、65歳以上、遠隔転移ありなどが、がん診断時にDVTを併発することのリスク因子であることが示された。

キーワード

臓器別:その他

手法別:疫学・予防

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