演題抄録

ワークショップ

開催概要
開催回
第58回・2020年・京都
 

転移性去勢抵抗性前立腺癌におけるリキッドバイオプシーでの遺伝子変異の意義

演題番号 : WS12-3

[筆頭演者]
桶川 隆嗣:1 
[共同演者]
冨田 良啓:1、紀伊 寿彦:1、松本 龍貴:1、北村 盾二:1、二宮 直紀:1、舛田 一樹:1、中村 雄:1、田口 慧:1、山口 剛:1、多武保 光宏:1、福原 浩:1

1:杏林大学・泌尿器科

 

[目的] 近年、血中循環腫瘍細胞(CTC)はバイオマーカーとしての有用性が期待されている。CTCは全病巣から放出されているため、heterogeneityに富む転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)の遺伝子プロファイルをより正確に把握できる可能性がある。
[方法・対象] 我々は表面マーカーに依存せずにCTCを捕捉できる高密度誘電泳動微細孔アレイを用いた機器により、臨床応用可能なCTC検出法および単離法を開発した(特許申請中)。mCRPCにおいては治療薬の感受性に関わっているリガンド結合部位を欠くARのスプライスバリアント(AR-V7)、増殖能や浸潤能が高いCTCクラスターや上皮間葉転換CTC(CTC-EMT)を検出、さらに単離されたCTCやCTCクラスターからDNAを抽出し、全ゲノムシーケンス解析(NGS)を行った。対象は2014年4月からmCRPCと診断された98例とし、平均年齢74歳、iPSA70.4ng/ml, Gleason sore8以上74例(76%)、転移部位:骨転移のみ72例(73%) 骨転移+リンパ節転移23例(24%)、骨転移+リンパ節転移+内蔵転移は3例(3%)であった。平均観察期間38ヶ月(4―60ヶ月)であった。
[結果] mCRPCでARAT投与前のCTC-AR-V7陽性vs陰性で、PSA-PFS中央値12.5ヶ月vs到達せず(p<0.001)、CTCクラスター陽性vs陰性で、PSA-PFS中央値10.0ヶ月vs到達せず(p<0.001)であった。CTC遺伝子変異は、TP53変異(21%)、CTNNB1変異(7%)、APC変異(7%) PARP1 変異(5%)、AR変異(5%)、さらにBRCA2/ATM変異, PI3K変異、MET変異、EGFR変異、RB1変異などが検出され、病状進行とともに変異数が多く検出された。ドセタキセル投与前でのCTC-TP53変異ありvsなしで、PSA-PFS中央値6.5ヶ月vs14.5ヶ月(p<0.001)、全生存期間(OS)中央値13.0ヶ月vs20.5ヶ月(p<0.001)であった。OSでの多変量解析で、CTCクラスター、CTC遺伝子変異(複数)が有意な予後予測因子であった。経時的観察においてドセタキセル/カバジタキセル投与中で1. PSA値およびCTC遺伝子変異数と相関し病状が進行する症例、2. PSA値がプラトーであるが遺伝子変異数と相関し病状が進行する症例、3. PSA値が低値にもかかわらず遺伝子変異数と相関し病状が進行する症例の3パターンが見られた。パターン3.では新規に臓器転移(肝,肺)を起こす症例が多く見られた。また、4例の神経内分泌癌では、TP53変異とRB1変異が見られ、病状と相関していた。
[結論]CTCにおける遺伝子変異ステータスはmCRPC患者に対する治療効果予測因子になり得る可能性が示唆された。

キーワード

臓器別:前立腺・男性生殖器

手法別:バイオマーカー

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