演題抄録

会長企画シンポジウム

開催概要
開催回
第58回・2020年・京都
 

ロボット手術最前線~各領域トップリーダーによる現在とその後~「腎がん」

演題番号 : SSY1-4

[筆頭演者]
藤澤 正人:1 

1:神戸大学・腎泌尿器科

 

腎がんに対するロボット支援腎部分切除術(RAPN)は2004年に初めての報告がなされ、精細な切除範囲の決定と尿路や腎皮質の緻密な縫合が要求される腎部分切除術においてロボット支援手術の利点を生かし、低侵襲性と根治性ならびに機能温存を達成し得る術式として本邦でも2011年に初めて実施された。さらに本邦では先進医療制度下に7cm未満の腎がん患者に対するRAPNの全国多施設共同臨床試験を2014年より実施し、その結果ヒストリカルコントロールとして用いた腹腔鏡下腎部分切除術(LPN)と比較し切除断端陽性率と腎機能の温存指標である温阻血時間の明らかな優位性を示し、2016年の診療報酬改定でRAPNは保険適応として承認された。
ロボット支援手術の有する優位性は、高難度の腎がん、例えば腎門部腫瘍、埋没型腫瘍、腫瘍サイズの大きい腫瘍などに対する低侵襲アプローチを理論的には容易にし得る。しかしながら、高難度腫瘍に対するRAPNは未だにRAPNの普及期にある本邦において広く実施されているとは言い難く、これらの症例に対する有用なエビデンスが要求されている。このため、我々は高難度腫瘍の一つである腎門部腫瘍を対象に、阻血時間および切除断端陽性の有無を主要評価項目として、LPNの文献を併合解析したヒストリカルコントロールと比較する全国多施設共同臨床試験を実施し、その結果として温阻血時間の平均値は20.2分、断端陽性率は1.9%と事前に設定した有効性判断基準を大幅に上回り、腎門部腫瘍に対するRAPNの優位性を示した。さらに、我々は別の高難度腫瘍である完全埋没型腫瘍に対するRAPNの有用性を評価する全国他施設共同前向き臨床試験を本年より開始しており、本研究の成果によるRAPNのさらなる適応拡大に向けたエビデンスの確立が期待されている。
また、腎部分切除術ほどその優位性は明らかではないものの、根治的腎摘除術へのロボット支援手術の保険適応も検討されている。さらには下大静脈内腫瘍塞栓を有する腎がんに対するロボット支援根治的腎摘除術および腫瘍塞栓摘除術も症例報告レベルではあるが報告されつつあり、腎がんの治療におけるロボット支援手術の役割は今後もますます拡大すると考えられる。

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