演題抄録

会長企画シンポジウム

開催概要
開催回
第58回・2020年・京都
 

下部消化管領域のロボット支援下手術

演題番号 : SSY1-3

[筆頭演者]
絹笠 祐介:1 
[共同演者]
松山 貴俊:1、山内 慎一:1、菊池 章史:1、増田 大機:1、山本 雄大:1、松宮 由利子:1、角田 龍太:1、新井 聡大:1、溝口 正子:1、滋野 高史:1、徳永 正則:1

1:東京医科歯科大学・消化管外科

 

da Vinci® surgical systemを用いたロボット手術は、鮮明な三次元ハイビジョン視野の下、モーションスケーリングや手振れ補正機能を有した自由な多関節鉗子による、安定した鉗子操作を特徴とする。直腸癌手術においては、2018年に保険収載をされた後は、増加の一途をたどっている。欧米では直腸がんのみならず、結腸癌に対するロボット手術も盛んに行われているが、本邦ではほとんどが直腸癌である。
直腸癌におけるロボット手術は国際的には普及し、安全性に関する報告は多いが、有効性に関するデータはまだ十分ではない。ロボット手術では、尿失禁が腹腔鏡手術と比較して改善するとの報告がある一方で、差がないとする報告もある。性機能に関する報告の多くでは、ロボット手術で良好な成績が報告されている。2009年に開始された、ROLARR試験では主要評価項目は開腹移行率であり、腹腔鏡下手術群12.2%、ロボット手術群8.1%であり、統計的有意差は認めず、ロボット手術の優越性を示すことをできなかった。一方で、静岡がんセンターにて600例のロボット直腸がん手術の治療成績を検討すると、ロボットを使用することによって、開腹移行率、出血量、術後排尿障害の減少を認め、下部進行直腸癌では予後の改善も認めた。骨盤深部での操作性が向上し、腹腔内からの肛門温存術式が容易に施行可能であることや、直腸切断術の際に腹腔内からの肛門挙筋切離が容易であることなどから、従来の腹腔鏡手術と比べてのメリットはより低位の直腸癌に大きい。
現在、当科では直腸がん手術は全例ロボット手術で施行されており、結腸がんに対しても自由診療のもとロボット手術を導入している。今後の課題として、指導医の育成ならびに安全な普及、技術認定医や施設基準の問題、そして結腸がんに対するロボット手術の保険収載が挙げられる。

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