演題抄録

会長企画シンポジウム

開催概要
開催回
第58回・2020年・京都
 

胃癌に対するロボット支援下手術の最前線

演題番号 : SSY1-2

[筆頭演者]
宇山 一朗:1 
[共同演者]
須田 康一:1、柴崎 晋:1、菊地 健司:1、田中 毅:1、中内 雅也:1、中村 謙一:1、稲葉 一樹:1、杉岡 篤:1

1:藤田医科大学・総合消化器外科

 

胃癌に対する内視鏡手術支援ロボット手術は,da Vinci Surgical System(DVSS)の2009年11月の薬事法承認以来,日本では緩徐に広まってきた.しかし,高い水準の従来型腹腔鏡下胃癌手術が普及していた本邦においては,保険未収載という条件下で,高いコストという欠点を凌駕するほどの有用性を示すことは困難であった.そこで,我々は先進医療制度を利用してロボット手術の有用性を検討することとした.術前診断でD1+又はD2郭清を伴う噴門側胃切除,幽門側胃切除又は胃全摘で根治手術可能なcStage IまたはIIの胃癌を対象とし腹腔鏡下胃切除に対するDVSSを用いたロボット支援下胃切除術の安全性,有用性,経済性を多施設共同臨床で評価することを目的とした先進医療Bを施行した.2014年10月から2017年1月までに330例の登録を行い,ロボット手術が腹腔鏡手術より術後合併症を有意に減少させることを示した.そして,2018年4月にロボット支援下胃切除術は保険収載された.しかし,この臨床試験はロボット手術単群試験であったためか,ロボット手術に対する加算は認められなかった.保険診療で施行するためには,年間胃癌手術が50例以上という厳格な施設基準も設定されたため,急速に普及するという段階には至っていないのが現状である.しかし,術後感染性合併症の発生は胃癌患者の予後を悪化させるという論文も散見される.もしロボット支援手術が胃癌術後合併症を減少させるのであれば,積極的に施行していくべきである.今後は,ロボット手術の有用性を示し,診療報酬加算を獲得し,胃癌手術の標準治療の一つとして標準化していく必要がある.このシンポジウムで,我々の胃癌に対するロボット支援手術の最新手技と成績を紹介し,ロボット胃癌手術の今後の展望について述べたい.

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