演題抄録

一般口演

開催概要
開催回
第56回・2018年・横浜
 

石綿健康被害救済制度周知方法等の検討-石綿健康被害救済制度の認知状況調査より-

演題番号 : O49-4

[筆頭演者]
演者)新野 真理子:1 
[共同演者]
富塚 太郎:2、東 尚弘:1,2

1:国立がん研究センター・がん対策情報センター・がん登録センター、2:国立がん研究センター・がん対策情報センター・がん臨床情報部

 

【目的】
平成28年の中央環境審議会で、石綿健康被害救済制度(以降「救済制度」という。)に関し、「石綿による肺がんについて重点的に医療現場への周知を図るべき」と報告された。本調査は環境省からの委託により、肺がん患者の診療をする医師における救済制度の認知状況を把握し、石綿による肺がんに対する救済制度の運用改善に資する効果的な周知方法を検討する為の基礎情報を得ることを目的に実施した。
【方法】
対象者は2016年全国診療拠点病院等院内がん登録全国集計へのデータ提出実績のある772施設に勤務する呼吸器科医師とし、質的手法で開発した自記式調査票を各施設へ5部ずつ配布し調査を行った。救済制度の知識を問う15の設問の正答割合と医師の属性との関連および、胸膜プラークを持つ肺がん患者への救済制度申請支援の有無との関連を解析した。
【結果】
497施設(64%)から1220部の回答を得た。回答者全体における項目別救済制度内容の把握状況として、救済制度の対象者(正答: 60.3%)遺族による救済請求の可否(正答71.9%)、救済制度申請時石綿曝露歴の添付不要(誤答:67.4%)、医学判定に要する病理標本の提出(誤答:33.2%)、「石綿による肺がん」の認定基準となる胸部所見(胸膜プラーク所見の程度「知らない」:47.3%、肺線維化所見の程度「知らない」:52.2%)、救済給付内容(療養手当給付額「知らない」:82.1%、医療費給付有「知らない」49.2%)であった。
回答者の属性と救済制度の知識の程度との関連では、診療従事年数が11年以上(正答数平均6.59 vs 4.94)、呼吸器専門医(正答数平均6.52 vs 4.49 vs 5.74)が関連していた。(P<0.01)また、胸膜プラークを持つ肺がん患者に対する救済制度申請支援の有無と制度知識の程度に差が見られた(正答数平均:申請支援有7.02 vs支援無5.31)(P<0.01 )
診療従事年数と各項目の正答割合の関連では石綿曝露歴の添付不要、病理標本の必要の有無、認定基準となる肺線維化所見の程度、救済内容に差がなかった。
【考察】
肺がんに対する救済制度申請時には石綿曝露歴聴取結果と病理標本提出が必要と認識されている傾向があった。労災保険制度とは異なり、救済制度では申請時には石綿暴露歴聴取結果と病理標本提出は必須では無いとの周知によって医師の負担感を軽減出来る可能性がある。救済内容は診療従事年数問わず多くの医師に把握されておらず申請支援の動機となるような周知が勧められる。

キーワード

臓器別:肺・縦隔・胸膜

手法別:医療政策

前へ戻る