演題抄録

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開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

再発悪性神経膠腫に対するホウ素中性子捕捉療法~加速器を用いた第一相試験の結果より

演題番号 : WS2-4

[筆頭演者]
川端 信司:1 
[共同演者]
平松 亮:1、鈴木 実:2、田中 浩基:2、黒岩 敏彦:1、小野 公二:2、宮武 伸一:1

1:大阪医科大学・脳神経外科、2:京都大学・原子炉実験所

 

ホウ素中性子捕捉療法(boron neutron capture therapy, BNCT)は、中性子と相互作用を起こす核種(10B)を予めがん細胞に取り込ませ、その核種と中性子との反応によりがん細胞を破壊する治療法であり、腫瘍細胞選択制を有した粒子線治療として注目されている。BNCTは従来の放射線治療と比較し、放射線既治療例に対しても1回の照射で腫瘍部位に十分な治療制御線量を付与することが可能である。
BNCTは中性子の照射源が必須であり、これまでは中性子を取り出すのに研究用原子炉を使って行われてきたが、国内で臨床研究実施が可能な施設は現在、京都大学原子炉実験所(大阪府・熊取町)だけとなった。原子炉の有する特有かつ特殊な問題から、これまでBNCTは、閉鎖的かつ敷居の高い治療法と認識されてきた。BNCTの普及のためには、病院内に設置可能な中性子源用小型加速器の開発が必要な課題として挙げられていたが、住友重機械工業株式会社と京都大学原子炉実験所の共同開発によりサイクロトロンを用いた小型加速器中性子源が完成し、これによりBNCTは新しいがん治療法として一般に普及する環境が整った。また同時にステラファーマ株式会社によって、中性子と捕獲反応を起こす核種(ホウ素-10、10B)が99%以上含有する高10B濃縮L-BPA(L-boronophenylalanine)が製剤化された。
今般、当院と京都大学原子炉実験所は、2012年から世界初となる中性子源用小型加速器を用いた再発悪性神経膠腫を対象とした治験(第I相試験)を実施した。被験者12例(KPS 60%以上、60Gy程度の放射線治療既治療例)を対象に、L-BPA500mg/kgを投与し、皮膚線量として5.5 Gy-Eq、7.0 Gy-Eq、8.5 Gy-Eqを照射し、BNCT 施行後90日間の安全性を検討した。結果、認められた副作用は全例で忍容可能な事象であり、安全性が確認された。この結果を踏まえて、現在第II相試験が進行中である。

キーワード

臓器別:脳神経

手法別:放射線治療

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