演題抄録

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開催回
第55回・2017年・横浜
 

難治性胃癌に対する癌治療用ウイルスの開発と期待

演題番号 : WS1-8

[筆頭演者]
中森 幹人:1 
[共同演者]
中村 公紀:1、尾島 敏康:1、辻 俊明:1、勝田 将裕:1、稲生 靖:2、福原 浩:2、藤堂 具紀:2、山上 裕機:1

1:和歌山県立医科大学・外科学第2講座、2:東京大学・医科学研究所・先端がん治療分野

 

【背景】癌に対するウイルス療法は分子標的治療のカテゴリーに属する新しい治療として注目されている。我々は、癌治療用ヘルペスウイルス(以下、oHSV)を用いたpreliminary researchを行ってきたが、このoHSVでは十分な抗腫瘍効果が得られない細胞があることが判明した。 そこで、分子標的機能を強化した癌治療用ウイルスの開発を行っている。【方法】(1)第3世代oHSV (T-01)にTSP-1 (thrombospondin-1)遺伝子を導入した癌治療用ウイルスT-TSP1の開発。TSP-1は腫瘍微小環境における重要な分子であり、anti-angiogenesisに関与している。oHSVのdirect oncolysisに加えて、anti-angiogenesis作用の付加を期待した。(2) SOCS-3 (suppressor of cytokine signaling-3)は野生株の単純ヘルペスウイルスが細胞に感染すると、細胞内で速やかに誘導されるタンパク質である。誘導されたSOCS-3はIL-6,IL-10,INF-γなどのサイトカインの誘導を阻害し、細胞内で自らの複製に有利な環境を作ることがすでに報告されていることを応用し、T-SOCS-3と呼称する癌治療用ウイルスを作成した。(3) hTERT (human telomerase reverse transcriptase) の働きは、細胞の不死化に関与するテロメラーゼを構成するサブユニットのひとつであり、多種の癌での発現が明らかとなっている。そこで、抗腫瘍効果を増強した第4世代癌治療用ウイルスであるhTERT promoter制御型癌治療用ウイルス (T-hTERT)を作成した。【結果】(1)T-TSP-1は癌治療用ウイルスのdirect oncolyisに加えて、腫瘍血管抑制効果を誘導した。(2) T-SOCS-3はウイルスが有効な複製能を惹起できない胃癌細胞に高い複製能と殺細胞効果の増強を認めた。(3)T-hTERTは、T-TSP-1, T-SOCS-3が高い抗腫瘍効果を誘導出来ない胃癌細胞株や外科切除新鮮標本に対して有意な効果を示した。【結語】癌治療用ウイルスは元来有する分子標的能に加えた修飾をすることで、より治療標的のターゲットを明確化出来る可能性がある。

キーワード

臓器別:胃・十二指腸

手法別:分子標的治療

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