演題抄録

シンポジウム

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

遺伝性大腸癌―診断の進歩と実地臨床

演題番号 : SY11-3

[筆頭演者]
石田 秀行:1 
[共同演者]
近 範泰:1、鈴木 興秀:1、石橋 敬一郎:1、山口 達郎:2、田中屋 宏繭:3、松原 長秀:4、富田 尚裕:4、野水 整:5、大木 進司:6、高山 哲治:7、石川 秀樹:8、赤木 究:9、江口 英孝:10、岡崎 康司:10

1:埼玉医科大学・総合医療センター・消化管・一般外科、2:がん・感染症センター都立駒込病院・外科、3:独立行政法人国立病院機構岩国医療センター・外科、4:兵庫医科大学・下部消化管外科、5:公益財団法人星総合病院・外科、6:福島県立医科大学・消化管外科、7:徳島大学・消化器内科学、8:石川消化器内科、9:埼玉県立がんセンター・腫瘍診断・予防科、10:順天堂大学・難病の診断と治療研究センター

 

全大腸癌の5%未満を占める遺伝性大腸癌の遺伝子診断の進歩,代表的疾患である家族性大腸腺腫症(FAP),リンチ症候群(LS)の治療・サーベイランスの現状について報告する.
【遺伝子診断】遺伝性大腸癌にはLS, FAP,MUTYH関連ポリポーシス,ポリメラーゼ校正関連ポリポーシスのほか, Peutz-Jeghers 症候群,Juvenile polyposis 症候群,Cowden 病などの過誤腫性ポリポーシスなどが知られている.われわれは遺伝性大腸癌・消化管ポリポーシスが疑われる患者に対し,next generation sequence によるmultigene panelを用いた生殖細胞系列のバリアントを同定する多施設共同研究を開始した.すでに 300例以上が登録され,APC,MUTYHPTENSTK11BRPR1AMLH1MSH2MSH6, EPCAMTP53MBD4などの病的バリアントが同定されている.特に,oligopolyposis の確定診断にはきわめて有用であり,症例を供覧する.
【LS】欧米の報告では全大腸癌の1~5%がLSとされているが,わが国のデータは少ない.当科の1234例の初発大腸癌のミスマッチ修復タンパクに対する免疫染色によるスクリーニングを経て確定されたLS,Lynch-like syndrome (LLS)の頻度は各々0.7%,0.2%であった.したがって,欧米で提唱されているLSのuniversal tumor screeningはわが国では費用対効果の面で検討を要し, LSと LLSを区別して医学的管理を行う必要性も示唆された.
【FAP】大腸全摘・回腸嚢肛門(管)吻合術が標準術式ではあるが,直腸粘膜が残存する術式を採用した場合には残存直腸粘膜の発癌が問題となる.当科では肛門管吻合後の直腸癌3例について, sleeve resectionや肛門吻合術へのconversionを行い良好な経過を得ている.FAPでは大腸癌を制御しても十二指腸癌などの大腸外病変に対する長期的な対応が必要である. Spigelman stage IVの十二指腸ポリポーシスに対し,当科では11例に膵温存十二指腸全切除術を施行している. 本法はQOLが保たれる有用な術式である.

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