演題抄録

パネルディスカッション

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

cStage I食道扁平上皮癌に対する外科的治療の短期および長期成績

演題番号 : PD9-1

[筆頭演者]
渡邊 雅之:1 
[共同演者]
湯田 匡美:1、山下 公太郎:1、岡村 明彦:1、速水 克:1、今村 裕:1、峯 真司:1

1:公益財団法人がん研究会有明病院・消化器外科

 

【はじめに】cStage I食道扁平上皮癌に対するわが国の標準治療は手術または化学放射線療法 (CRT)である。当科におけるcStage Iに対する外科的治療の短期および長期成績を報告する。【治療方針の決定】新患症例全例を外科医、消化器内視鏡医、腫瘍内科医、放射線科医で構成される食道カンファレンスで検討し、ステージングを確認する。cStage I症例については外科、腫瘍内科の双方から治療方針について患者および家族にインフォームドコンセントを行い、手術かCRTかを選択する。【対象と方法】2005年から2016年に当科で食道切除術を施行した1136例中cStage Iは261例。このうち腺癌、悪性黒色腫、神経内分泌癌の40例、同時性の頭頸部癌で咽頭喉頭食道全摘を必要とした12例、根治的CRT後の遺残・再燃例5例を除いた204例を対象とした。食道切除術の短期成績については術後合併症および術死・在院死の頻度、チーム医療と鏡視下手術の導入の意義、リンパ節転移の実態を検討した。長期予後については全生存率 (OS)、疾患特異的生存率 (DSS)、無再発生存率 (DFS)を検討した。【結果】平均年齢は64.5歳、男性175例 (86%)、ASA-PS class 1/2/3が79/116/9例。術式は食道亜全摘が194例 (95%)、右胸腔アプローチが194例 (95%)、うち胸腔鏡が104例(51%)、胸腔鏡/腹腔鏡によるtotal minimally-invasive esophagectomy (tMIE) が54例 (26%)に施行された。術後合併症は133例 (65%)に認められ、内訳は肺炎18%、SSI 23%、縫合不全11%、反回神経麻痺13%であった。術後30日以内の手術直接死亡は1例 (0.5%)、在院死亡は2例(1%)であった。2013年10月に周術期管理チームを導入したが、導入前後で比較すると肺炎が26%から9% (P=0.003)、SSIが29%から13% (P=0.009)と有意に減少した。チーム導入後にtMIEを施行した52例では肺炎の発生率は6%であった。リンパ節転移は62例 (30%)に陽性、LPM/MM/SM1/SM2/SM3でそれぞれ0/16/27/33/53%に転移陽性であり、転移陽性のリンパ節は頸部・縦隔・腹部に広く分布した。3年/5年のOS、DSS、DFSはそれぞれ90.1/83.6%、97.6/94.9%、85.1/78.3%であった。【結語】cStage Iに対する手術の短期成績はチーム医療とtMIEの導入で顕著な改善が認められた。画像診断でN0症例が対象であるが病理学的には高頻度にリンパ節転移が認められた。外科的治療による長期成績は良好であり、cStage I症例に対して妥当な治療選択肢と考えられた。

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