演題抄録

パネルディスカッション

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

Stage IV乳がんに対する手術療法の将来

演題番号 : PD8-6

[筆頭演者]
枝園 忠彦:1 
[共同演者]
宇野 摩耶:1、吉岡 遼:1、河内 麻里子:1、突沖 貴宏:1、高橋 侑子:1、鳩野 みなみ:1、河田 健吾:1、岩本 高行:1、池田 宏国:1、平 成人:1、土井原 博義:1

1:岡山大学・病院・乳腺・内分泌外科

 

診断時より遠隔転移を伴うStage IV乳がんの診療に影響を与える背景には ①画像診断の進歩に伴うStage IV乳がん診断の早期化 ②転移乳癌治療薬剤、特にバイオロジーに合わせた効果的な治療の進歩 ③手術技術の進歩による低侵襲化 が重要な因子として挙げられる。Stage IV乳がんに対する手術には「原発巣に対する手術」と「転移巣に対する手術」の二つがある。そしてそれぞれの意義として「治療」と「腫瘍のバイオロジー(治療効果または治療による変化)確認のための検査」に分けられる。
手術がStage IV乳がんに対する治療として成立するためには、手術による予後改善効果または局所症状の改善効果の前向きな検討によるエビデンスが必要である。現時点では転移巣に対する手術では転移臓器によって多少差はあるものの明確に前向き検討しているものはない。ただし、近年注目を集めるようになったOligometastasisの考えでは、これまではほぼ不可能とされていた治癒をStage IVの病態でも目指すことができるとされている。その治療戦略においては転移巣に対する手術は大きな役割を果たす可能性がある。
原発巣に対する手術に関してはJCOG乳がんグループも含めていくつかの前向きな研究が報告されまた現在も進行中である。今後5年程度でそれらの研究結果が集まりデータが詳細に検討されることで一定のエビデンスが示されると思われる。他方、腫瘍のバイオロジーを確認するための検査としての手術は以前よりも重要性を増していると思われる。薬物が個別化され治療のオーダーメード化が進めば進むほど、薬剤の適応を決める上でのバイオロジー検査は重要であるし、薬剤投与後にどのようながん細胞がどの程度残っているのかという情報は次の治療選択に大きな影響を及ぼす。
Stage IV乳がんに対する手術は、主力である薬物療法とは違ったアプローチとして、その意義も含めて今後も引き続き検討されていく必要がある。

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