演題抄録

パネルディスカッション

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

Stage4 薬物療法の将来

演題番号 : PD8-5

[筆頭演者]
原 文堅:1 

1:独立行政法人国立病院機構四国がんセンター・乳腺科

 

 ホルモン受容体(HR)陽性乳癌に関して、cyclin D-CDK4/6-Rb経路やPI3K-Akt-mTOR経路の変異が高頻度にみられ、内分泌療法耐性に関与している。現在CDK4/6阻害剤、mTOR阻害剤、PI3K阻害剤やAkt阻害剤、FGFR阻害剤、HDAC阻害剤などが開発中である。特にCDK4/6阻害剤は第三相試験でHR陽性再発乳癌において内分泌療法単独と比較してCDK4/6阻害剤併用で無増悪生存期間を約2倍に延長することが示されている。将来的にこれら分子標的薬の使い分けが重要な課題となるが、現時点で明確なバイオマーカーは見つかっていない。今後の開発はCDK4/6阻害剤耐性に立脚したバイオマーカー研究、その克服を目指した逐次的分子標的治療開発が求められる。
 HER2陽性乳癌に関しては,トラスツズマブにより予後が劇的に改善されたが,HER2とのヘテロダイマー形成阻害作用を有するペルツズマブ,抗体薬物複合体であるT-DM1が開発され,さらに予後が延長した.今後はこれら薬剤が周術期に使用されることでHER2陽性乳癌はほぼ完治可能なタイプとなる可能性がある.一方でPI3K-Akt-mTOR経路の変異などが治療抵抗性に関与しており、両経路の同時阻害も試みられている。
 一方トリプルネガティブ(TN)乳癌に対しては未だ明確な標的が明らかではなく、TN乳癌を遺伝子プロファイルで細分化できることが示されている。その中で近年,BRCA1/2変異陽性に関してはPARP阻害剤が有効との報告があり標準治療の一つとなると思われる.また他癌腫で高い有効性を示している免疫チェックポイント阻害剤に関しても免疫原性が高いTN乳癌を中心に開発が進んでいる.アンドロゲン受容体陽性TN乳癌に対する抗アンドロゲン剤の臨床試験が進行中である。抗Trop2抗体-薬物複合体であるIMMU-132(sacituzumabgovitecan)は第二相試験で高い有効性を示しており、今後の開発が期待される。
 またこれら治療を行う上で治療標的、効果予測バイオマーカーが必要であるが、クローン選択、獲得遺伝子変異が起こるため、原発巣と転移巣では腫瘍バイオロジーに変化が起こることが知られている。治療前後、途中で測定可能な、低侵襲バイオマーカー診断技術も合わせて必須となる。

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