演題抄録

パネルディスカッション

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

乳がん患者団体等の現状と課題

演題番号 : PD3-3

[筆頭演者]
若尾 直子:1 

1:山梨まんまくらぶ・代表

 

【背景】いわゆる「乳がん患者会」は、1978年にワット隆子氏が某新聞「編集者への手紙」に投稿したのがきっかけだろう。当時、ある女性が「乳がんではないか」と気に病んで娘二人を道連れにし心中した記事に触発され、体験者でないと解らないサポートの必要性とがん検診の重要性を訴える会を立ち上げようと新聞紙上で宣言したのが始まりだと思われる。その後、毎年9万人弱の新たな乳がん患者が登録される中、乳がんの告知を受けた女性たちはそれぞれの課題を持って集合体を造るようになる。ワット隆子氏がご自身の乳がん罹患をカミングアウトしたことがきっかけとなり多くの乳がん患者たちが声を上げるようになったわけだ。
これらのいわゆる「乳がん患者会」は、2017年現在、筆者の調べた範囲では全国に154団体見つけることができた。これ以上の団体があると予測される。
【目的】各都道府県に存在する乳がんに関する団体等の活動内容を分類し、それらの現状と課題を推測することを目的とする。
【結果】全ての都道府県に乳がんに関する団体が存在し、その活動内容は多岐にわたる。すべてを明細に調べたわけではないが、活動内容から以下のようなタイプに分類できる。
Ⅰ:同じような体験をした患者が集まり、定期的にサロン的なセルフヘルプを行い、リフレッシュするためのイベント等を開催する団体
Ⅱ:体験を基に、乳がん治療や後遺症等に対する課題を明確にし、アドボカシー活動を中心とする団体
Ⅲ:ⅠとⅡを合わせ活動している団体
Ⅳ:Ⅰと共に検診や乳がんについての啓発を主たる活動としている団体
Ⅴ:体験をもとに、新たな乳がん患者をサポートする団体(ピアサポート)
Ⅵ:構成員が乳がん体験者だけではなく、正しい知識を提供することを主たる目的とする団体
Ⅶ:新たな治療を求め、患者自らが治験等の情報収集・発信を行っている団体
批判を恐れずに言うと、構成員の平均年齢によっても活動内容が分かれている。分類番号の若い団体は、概ね年齢層が高い。一方分類番号Ⅵ、Ⅶは比較的若い世代で、同じ乳がんでも希少がんとも呼べるタイプの患者等により構成されている。
【結語】課題はともに同じで、人材不足と財源不足。さらに言うと、同じ目的を持って活動を持続させることの難しさ。今後、体験者等から発せられた課題や問題意識を解決し、より充実した乳がん治療環境を構築するためには、それぞれの活動が継続可能となるような支援が必要だと思われる。

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