演題抄録

パネルディスカッション

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

プレシジョンメディシンとアドボカシー活動

演題番号 : PD3-2

[筆頭演者]
眞島 喜幸:1 

1:特定非営利活動法人パンキャンジャパン

 

2016年のがん罹患者数は100万人を超えると予想され、国民の2人に1人は生涯のうちにがんに罹患するとされている。2006年設立以来、膵臓がん患者支援団体パンキャンジャパンは、過去40年間、唯一5年生存率が一桁台という難治性がんの筆頭である「膵臓がん」と闘う患者・医療者に一日でも早く米FDA承認された医薬品を届けるためのアドボカシー活動を続けてきた。過去10年で以前は6年かかっていたドラッグラグも3年までに短縮され、使える医薬品の数も順調に伸びてきている。もうひとつの膵臓のがんである、膵神経内分泌腫瘍(PNET)は10万人に0.2人の罹患率という希少がん。この希少がんのドラッグラグは五大がんの比ではない。PNETにはソマトスタチン受容体(SSTR)が発現することから、それを目標とした診断法ならびに治療法の開発が進んできた。しかし、PNETが使う抗がん剤ストレプトゾトシン(STZ)は33年のラグを経て承認されている。ソマトスタチン受容体シンチグラフィー(SRS)診断薬は21年のラグだ。いま米NCCNのNET診療ガイドライン、欧州神経内分泌腫瘍学会(ENETS)の診療ガイドラインに標準療法として掲載されている最新のSRS診断、核医薬品を用いたPRRT療法等が、日本で受けられるのはいつになるのだろうか。治療の選択肢がなくなったPNET患者は欧州まで治療を受けに行かざるおえない状況が続いている。希少がんの深刻なドラッグラグはいまも続いている。そのようななか、日本の医療はいま大きく変わろうとしている。10年目を迎えた「がん対策基本法」の改正があり、2016年12月9日「改正がん対策基本法」が成立した。そこには「罹患している者の少ないがん及び治癒が特に困難であるがんに係る研究促進について必要な配慮」することが明記された。さらに、同年12月27日開催の「がんゲノム医療フォーラム2016」において、安倍内閣総理大臣より「がんと立ち向かう国民の命を守るため、がんゲノム医療の計画的な推進」を塩崎厚労大臣に求められた。日本は先進国の一員として、イノベーションは支えつつ、しかし国民皆保険制度は堅持する。さらに技術革新が猛烈に進むゲノムの世界でゲノム医療に関連する緒問題にどう取り組み、どう国民皆保険にゲノム医療を組み込むのか。ドラッグラグ問題に取り組むアドボカシー団体の一員として、これからの我が国の医療について、パネリストの皆様と一緒に考えたい。

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