演題抄録

パネルディスカッション

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

膵癌取扱い規約第7版(2016):大幅な改訂が目指したものとは?

演題番号 : PD2-4

[筆頭演者]
伊佐地 秀司:1 

1:三重大学・大学院医学系研究科・肝胆膵・移植外科

 

 日本膵臓学会(JPS)の膵癌取扱い規約第7版は,(1) ダイナミックCT所見から進展度診断ができる,(2) Stage分類と治療方針との間にひもづけができる,(3) 切除可能性分類の導入で詳細な治療方針が立てられる,(4) 病理分類のWHO分類との整合性をはかる,(5) 術前治療が普及しつつあるため生検診,細胞診,治療後の組織学的効果判定基準を導入する,というコンセプトのもとに大幅な改訂となった.
 JPS第6版までは,外科医と病理医が中心となり,JPS膵癌登録の切除例のデータを用いて,TNM分類とStage分類が作成されてきたため,T分類やStage分類は切除しないとできず,内科医や放射線科医にはなじみが少なかった.膵癌は診断時に治癒切除の対象となる症例は全体の20%程度であることに加え,2000年以降,化学療法や化学放射線療法の進歩・普及に伴い,切除の対象とならない膵癌患者の診療機会が急増したことで,内科医にも利用しやすい本邦規約の改訂が望まれてきた.内科系医師が第6版規約を活用しにくい理由としては,(1)TNM分類が複雑で,比較的単純なUICC分類との間に著しい乖離があること,(2)すべてのStage (Stage 0からIVb)に切除可能膵癌が含まれるため,Stageと治療方針との間にひもづけをすることが容易ではないこと等が指摘されていた.
 改訂のポイントは,1) 腫瘍占居部位の変更(膵体部と尾部の境界は大動脈の左側縁とする),2) T分類(UICC第7版との整合性を図る),3) 膵外神経叢の解剖学的再検討,4) N分類(群分類から領域リンパ節内の転移個数による分類),5) 進行度分類におけるStage(治療方針に重点をおき,UICC第7版との整合性を図る),6) 病理組織学的分類(WHO分類との整合性を図る)である.新規追加項目は,1) T因子記載におけるCT画像診断指針,2) リンパ節転移のCT診断指針,3) CT画像による切除可能性分類,4) 生検診,5) 細胞診,6) 術前治療後の組織学的評価である.
 JPS第7版は2016年7月に出版されたが、同年12月にUICC第8版が出版された.UICC分類はT因子にやや隔たりができたが,以前ほどの差異はない.本規約は,JPSの膵癌診療ガイドラインとも歩調を合わせており,日常臨床に活用され,本規約に基づいて蓄積されたデータが世界に発信されることが望まれる.

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