演題抄録

パネルディスカッション

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

胚細胞性腫瘍の治療戦略 ―小児科サイドから―

演題番号 : PD11-4

[筆頭演者]
佐藤 雄也:1 

1:獨協医科大学・小児科学

 

米国に置ける調査報告(Miller et al. Cancer 1995; 75)では胚細胞腫瘍は小児がんの内、約3.2%を占めると報告されている。日本では小児小域のおける胚細胞腫瘍に対して小児外科学会における疾患登録以外にまとまった調査は行われておらず、正確な全体像、実態は不明である。
2001年から2005年までの日本小児外科学会悪性腫瘍委員会報告によると発生臓器は卵巣が最多であるが、精巣はもちろん、後腹膜、縦隔腫瘍として見つかるケースもある。小児期特有のものとして、仙骨前より発生する骨盤内腫瘍、仙尾部発症の腫瘍として見つかる事があり、これは出生前すなわち胎児診断されるケースも多い。腫瘍の多くは成熟奇形腫が占め、化学療法を行う必要のある悪性胚細胞性腫瘍は多くは無い。発生部位は卵巣が最も多く精巣がそれに次ぐ。組織型は卵黄嚢腫が13%、未分化胚細胞性腫瘍が5%を占めると報告されている。
小児期で見つかった悪性胚細胞性腫瘍は、通常小児外科にて手術が行われ、小児科が化学療法を担当し、小児がん診療ガイドラインに沿って治療することが多いと思われる。前述のように小児悪性胚細胞性腫瘍は稀な疾患であり、治療戦略は、精巣腫瘍、卵巣腫瘍のガイドラインに準じた構成となっている。しかし、未熟奇形腫では外科的切除のみで経過観察することが推奨されており、術後化学療法が推奨されている婦人科領域との違いを見せている。行われる化学療法はBEP(bleomycin、etoposide、cisplatin)療法を中心に行われてきたが、肺毒性、聴力障害の軽減を目的としたJEP(bleomycin、etoposide、carboplatin)療法が広く行われるようになっている。JEP療法ではBEP療法に比べ、造血障害が問題になるが、化学療法を手掛けている小児科医にとっては化学療法中の管理はさほど困難ではない。
小児領域では胚細胞性腫瘍についての臨床研究は行われてこなかった。また、AYA世代は婦人科、泌尿器科にまたがる世代であり明確な治療指針が無い。日本小児がん研究グループ(Japan Children's Cancer Group JCCG)胚細胞員会ではNRG-Japanと協力して国際共同研究AGCT1531に参加している。本研究では30歳までの初発患者を対象としAYA世代も含む本邦初の国際共同臨床研究となっている。

前へ戻る