演題抄録

パネルディスカッション

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

胚細胞腫瘍の治療戦略 ―婦人科サイドから―

演題番号 : PD11-3

[筆頭演者]
吉田 裕之:1 
[共同演者]
新谷 大輔:1、花岡 美枝子:1、矢野 友梨:1、小笠原 仁子:1、三輪 真唯子:1、藪野 彰:1、池田 悠至:1、西川 忠曉:1、長谷川 幸清:1、藤原 恵一:1

1:埼玉医科大学国際医療センター・婦人科腫瘍科

 

悪性卵巣胚細胞腫瘍は全悪性卵巣腫瘍の5%にも満たないまれな腫瘍であるが、上皮性卵巣腫瘍とは異なった臨床的特徴を有し、その管理には注意を要する。本腫瘍の特長としては、若年層に好発する、進行が急速である、化学療法感受性が高い、といったことが挙げられる。
本腫瘍の多くは片側性であり、妊孕性温存が必要な症例では患側付属器摘出術+大網切除術+腹腔細胞診を行う。術後癒着等による不妊症を考慮し、不必要な対側卵巣の生検は避ける。ただしディスジャーミノーマは10-15%が両側性であり、対側卵巣の慎重な観察が必要である。妊孕性温存が不必要な症例では上皮性卵巣癌に準じて両側付属器摘出術+子宮全摘出術+大網切除術+腹腔細胞診+骨盤・傍大動脈リンパ節郭清を行うが、リンパ節郭清は省略可能である。また、本腫瘍は進行が急速で、かつ化学療法感受性が高いことから、術後すみやかに化学療法を行うことが重要であり、消化管合併切除などの手術侵襲は避けるようにする。妊孕性温存術式は、上皮性卵巣癌に対しては通常進行期ⅠA期で分化度がgrade 1もしくはgrade 2の症例に適応とされるが、悪性卵巣胚細胞腫瘍では化学療法が奏効するため、Ⅲ期、Ⅳ期の進行例でも妊孕性温存術式が選択可能である。
ディスジャーミノーマⅠA期および未熟奇形腫grade 1のⅠ期以外には術後化学療法を行う。通常BEP療法(Bleomycin + Etoposide + Cisplatin)が行われ、その有効性は非常に高いが、投与時の留意点として安易に減量しないこと、投与スケジュールを厳守することが挙げられる。本疾患の多くは妊孕性温存治療が行われるため、抗癌剤の卵巣毒性が危惧されるが、BEP療法の卵巣毒性は少ないとされ、80-90%の症例で治療後月経再開がみられ、流産率や奇形発生率、不妊症の頻度の増加は見られないとされている。
本パネルディスカッションでは悪性卵巣胚細胞腫瘍の治療に関して、代表的な症例も供覧しながら、婦人科医の観点から考察を行いたい。

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