演題抄録

パネルディスカッション

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

胚細胞腫瘍の治療戦略 ―成人での診療―

演題番号 : PD11-1

[筆頭演者]
田村 研治:1 

1:国立研究開発法人国立がん研究センター

 

 肺細胞腫瘍の罹患率は20台後半から30代にかけてピークがあり、40歳未満の罹患が全罹患数の薬2/3を占めるが、成人発症も少なくない。縦隔、後腹膜など、性腺外原発胚細胞腫瘍も少なくない。IIC期以上の胚細胞腫瘍における基本的な治療方針は、まず化学療法を施行し、腫瘍マーカーの正常化後に残存腫瘍を切除することである。現在IGCCCG分類のgood risk群ではBEP療法3コースあるいはEP4コースが標準治療である。intermediate risk群あるいはpoor risk群ではBEP療法4コースが標準治療とされており、安易にEPに変更することは治癒率を下げる危険性がある。
 治癒率向上のためには、安易な減量を避け、relative dose intensity(RDI)を維持した化学療法が必要であり、通常の成人のmajor cancerに比べて高いRDIが求められる。腫瘍量と腫瘍マーカーを継時的に測定し、治療スケジュールを遵守し、適切なG-CSF製剤、抗菌剤の使用を心掛け、骨髄抑制、感染症をうまくマネジメントすることが必要である。
 BEP療法のキードラッグであるブレオマイシンの有害事象には薬剤性肺臓炎がある。リスク因子には、積算投与量の他に、高齢、喫煙歴、腎機能障害、肺血栓塞栓症などがあり、小児と比較し、成人の方が問題になりやすい。
 初回導入療法及び手術により寛解が得られたあとに、最後の病変の出現や腫瘍マーカーの再上昇が認められた場合は、prior CR(prior complete response)と定義され、一度も寛解が得られないで再燃した場合はprior IR (prior incomplete response)と定義される。これらの症例には、標準的な救援療法(VeIP, VIP, TIPなど)が施行される。初回導入療法と比較して治癒率は下がるものの、成人がんIV期に対する化学療法と比較するとRDIはたかく、骨髄抑制も強い。小児に比べて、骨髄予備能、肺機能、腎機能は低下傾向にあり、動脈硬化、血栓・塞栓症の合併も少なくない。又、重症感染症時の死亡率も高い。
 パネルデスカッションでは、胚細胞腫瘍の化学療法における成人症例の特徴に焦点をあて、泌尿器科、小児科、婦人科と「腫瘍内科」のチーム医療の必要性についても述べる。

前へ戻る