演題抄録

デジタルポスター

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

化学療法による嘔気、嘔吐の予防における低用量のオランザピンの効果に関する症例報告

演題番号 : P98-5

[筆頭演者]
土井 千春:1 
[共同演者]
山口 文子:2

1:社会福祉法人恩賜財団済生会横浜市南部病院・緩和医療科、2:社会福祉法人恩賜財団済生会横浜市南部病院・薬剤部

 

【背景】がん化学療法の実施において副作用の消化器症状をいかに制御するかは治療の続行、治療中のQOLに大きく影響する。高度催吐性の抗がん剤に対する制吐剤としてのオランザピン使用は、ガイドラインでも言及され臨床研究も実施されているが、適応外使用でもあり日常臨床で頻用はされていない。一方、緩和ケアの臨床では制御困難な嘔気に対してオランザピンを日常的に使用している。今回、嘔気により抗がん剤治療中の入院、あるいは食事量の減少が生じた症例に対して低用量のオランザピンを投与し、続行が可能となった症例を経験したので報告する。【症例1】上行結腸がんの再発に対してカペシタビン+オキサリプラチンを使用していた。骨髄抑制のために休薬が数回あったが、消化器症状は伴わずに実施していた。播種病変のため腸閉塞となり人工肛門造設のため2ヶ月間休薬後に再開。再開後初回の投与でday2から強い嘔気、嘔吐が生じ、食事摂取困難となり緊急入院。デキサメタゾンの投与で落ち着いたものの完全な制吐に至らずオランザピン2.5mgを投与開始、軽快が得られた。外来化学療法再開にあたり、カペシタビン内服期間のオランザピン併用、オキサリプラチン投与後3日間のデキサメタゾン投与で嘔気は制御され、その後は消化器症状による中断はなく経過した。【症例2】卵巣がんⅣ期の診断でパクリタキセル+カルボプラチンで化学療法実施。3コース目までは投与後数日パクリタキセルによる全身痛が生じるのみであった。4コース目から全身痛と同時に吐き気が生じ、食事量の減少が出現。デキサメタゾンは開始時から定期投与されており、5コース目からオランザピン2.5mg5日間の併用を開始。嘔気は生じず、術前化学療法6コース完遂、手術に至った。【考察】経口抗がん剤や中等度催吐性の抗がん剤であっても強い嘔気を生じる場合があり、初回は問題がなくても回を重ねるごとに副作用が増強することもある。特に、消化器がんの再発症例は効果があるうちはエンドレスの化学療法になることが多く、嘔気やそれによる食事量低下を極力制御することが病勢のコントロールに直結する。オランザピンを高度催吐性抗がん剤の嘔気の制御に用いる場合10mg投与の報告が多いが、今回の症例は2.5mgの投与で制御可能であった。化学療法実施中の嘔気は緩和ケアが積極的に介入すべき症状と思われ、薬剤師や外来化学療法室と協働して薬剤使用を提案することが重要と思われた。

キーワード

臓器別:その他

手法別:支持療法

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