演題抄録

デジタルポスター

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

当院での75歳以上の高齢者非切除胃癌の生命予後に影響を及ぼす背景因子の検討

演題番号 : P85-3

[筆頭演者]
伊藤 智子:1 
[共同演者]
伊藤 治幸:2、日下部 俊朗:1、平山 泰生:1、照井 健:1、石谷 邦彦:1

1:東札幌病院・内科、2:天使大学・看護学科

 

【背景】胃癌でも高齢者が占める割合は年々増加している。75歳以上の後期高齢者は併存症、認知機能、ADLの低下、平均余命が短いなど、非高齢者と異なる生理状態を有するため、外科治療や化学療法などが困難であったり、内視鏡治療でも治療希望しないなどの症例も見られる。一方、症状を緩和するためにこれらの治療が行われることもある。適切な緩和ケアを受けた場合、QOLおよび精神状態が向上するとの報告もある。NCCNの高齢者のがん治療のガイドラインでは、高齢者機能評価(CGA)が平均余命や治療に対するリスクをはかるのに有用とあるが、評価項目が多数で、時間もかかるため現実的利用は困難である。高齢者非切除胃癌であってもQOLを重視した適切な緩和ケアを提供するため、われわれは当院での75歳以上の高齢者非切除胃癌の生命予後に影響を及ぼす背景因子の検討を行った。【対象と方法】2013年1月から2016年12月までに当院にて75歳以上の後期高齢者で、非切除となった胃癌55例に対して後ろ向き研究を行った。緩和ケアとして化学療法や放射線治療を行った群(CT群)は17例(30.9%)、緩和ケアのみを行った症例(BSC群)は38例(69.1%) であった。生命予後(発症からの生存期間)に影響を与える背景因子をCT群とBSC群、ステージ(Ⅳとそれ以外)、ECOG Performance Status(PS)(0-1と2以上)、栄養状態(アルブミン値)、重大な併存疾患の有無、CRP値、G8ツール(簡便な高齢者機能評価スクリーニング法の一つ)についてCox比例ハザード分析を行った。今回G8の評価(計17点)を8点以上と8未満の変数とした。【結果】全症例の生存期間中央値(MST)は6.5ヶ月で、CT群、ステージⅣ以外とPS0-1群で有意に生存期間の延長を認めた。Cox比例ハザード分析では、CT群(p=0.028 、95%CI 1.203-8.970)、ステージⅣ以外(p=0.000、95%CI 5.081-85.824)、G8 8点以上つまり高齢者の機能が高い(p=0.018 、95%CI 1.195-6.544)の項目で有意差が見られ、生命予後に影響を及ぼす有意因子であることが示唆された。【考察】75歳以上の高齢者の非切除胃癌については、ステージ、治療の有無、高齢者機能評価が生命予後に影響を与える因子である可能性があることがわかった。後期高齢者においては、非高齢者以上に各種評価をした上で、適切な緩和ケアを行いつつ治療を行うことが予後やQOLの向上に結びつくものと思われた。

キーワード

臓器別:胃・十二指腸

手法別:集学的治療

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