演題抄録

デジタルポスター

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

GnRH agonist及びGnRH antagonist投与によるラット精巣微細構造の経時的変化

演題番号 : P61-1

[筆頭演者]
堀 淳一:1 
[共同演者]
甲賀 大輔:2、柿崎 秀宏:1、渡部 剛:2

1:旭川医科大学・腎泌尿器外科、2:旭川医科大学・解剖学講座・顕微解剖学分野

 

[諸言]
GnRH誘導体製剤には作用機序の異なるagonistとantagonistがあるが、両者が造精細胞やセルトリ細胞に与える影響の違いを形態学的に比較検討した研究はない。本研究では、ラットに両薬剤を投与し、精巣微細構造の経時的変化の違いを比較検討した。
[対象・方法]
正常ラットにリュープリンもしくはデガレリックスを単回投与後、1日、4日、7日、14日、28日目に精巣組織標本の作成を行い、光顕及び電顕を用いて両薬剤の影響を比較検討した。
[結果]
GnRH agonist投与群では、投与7日目までに対照群の50%まで急激に精巣重量が減少し、その後この萎縮状態が維持された。一方、GnRH antagonist投与群では投与7日目までは精巣重量の低下は緩徐で、その後急激に萎縮が進み、28日目までにGnRH agonist投与群に匹敵する精巣重量を示した。HE染色での精巣組織像の観察では、両者ともに曲精細管径は経時的に減少したが、GnRH agonist投与群では4日目より曲精細管内に変性した精子細胞と思われる多核の巨細胞が多数認められ、その後14日目までに精母細胞以降の造精細胞の大部分が消失しこの荒廃した状態が28日後まで持続した。一方、GnRH antagonist投与群では多核巨細胞は出現せず、7日目まで曲精細管の萎縮は緩徐であったが、14日目には多くの精子細胞が曲精細管壁から消失し大型の精母細胞が管腔側に露出する組織像を呈した。電顕観察では、GnRH agonist、antagonist投与群ともに経時的にセルトリ細胞の基底側に変性した造精細胞の処理像と異常な脂肪滴の沈着を認めた。この脂肪滴の蓄積は、GnRH agonist投与群では軽度で基底側に限局していたが、GnRH antagonist投与群では脂肪滴のサイズや量が経時的に増大し、28日目には脂肪滴が基底側から管腔側に移行した。どちらも投与初期に基底側に空隙を多数認め、この部位で精粗細胞の体細胞分裂像が高い頻度で観察された。
[結論]
GnRH agonist、GnRH antagonistともに、投与後も精粗細胞の分裂は頻繁に観察されるものの、精子細胞以降の造精細胞は次第に曲精細管壁から消失し、精母細胞が管腔側に露出するようになることから、精巣におけるGnRH誘導体の作用点は精母細胞から精子細胞への減数分裂や精子成熟の阻害であることが示唆された。曲精細管の萎縮に至る過程はGnRH agonist投与でより急激かつ顕著に起こることから、造精過程に対するGnRH誘導体の影響発現の機序はagonistとantagonistで異なることが示唆された。

キーワード

臓器別:前立腺・男性生殖器

手法別:内分泌・ホルモン療法

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