演題抄録

デジタルポスター

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

術後16年目にイレウスで発症した乳癌小腸転移の1例

演題番号 : P56-7

[筆頭演者]
田山 英樹:1 
[共同演者]
松井 哲:1、笹原 真奈美:1、岩田 侑子:1、河合 佑子:1、村田 有也:1、近藤 崇之:1、西原 佑一:1、川口 義樹:1、徳山 丞:1、浦上 秀次郎:1、石 志紘:1、大石 崇:1、磯部 陽:1

1:独立行政法人国立病院機構東京医療センター・外科

 

乳癌の遠隔転移は多種の臓器に認められるが、消化管への転移症例の報告は少ない。今回我々は術後16年目にイレウスで発症した乳癌小腸転移の切除例を経験したので報告する。症例は50代、閉経後女性、16年前に左乳癌(T2N1M0 stageⅡB)にて左乳房部分切除および腋窩リンパ節廓清術が施行され、組織型は浸潤性小葉癌、ER(+)、PgR(+)、HER2(0)、リンパ節転移(17/20)であった。術後11年で多発骨転移が出現し内分泌療法を行っていた。再発治療の経過中に子宮変性筋腫を指摘されて不正性器出血による貧血も認めていた。今回は腹部膨満感の増悪、嘔吐を主訴に緊急入院となり、腹部造影CT検査にて乳癌の腹膜播種巣による小腸イレウスと診断した。保存的加療を行うも改善がみられないため、開腹手術を施行した。術中所見では腹膜播種の所見は認めず、トライツ靱帯より15 cmの空腸から120 cmの長さにわたって、5か所転移を疑う腫瘤を認めた。そのうち腸管の全周性狭窄をきたしていたのは肛門側の2か所であった。同部位を120 cmに渡り小腸部分切除を施行した。また、出血コントロール目的に腹式単純子宮全摘、および両側付属器切除術も同時に施行した。小腸切除検体の病理所見では乳癌由来と考えられる核異型の強い腫瘍細胞の増殖を粘膜内から漿膜下層にかけて認め、免疫組織学的にはER(+)、PgR(+)、HER2(0)、E-cadherin陰性であり既往の小葉癌の転移として矛盾しない形態・形質であった。また、同時に摘出した子宮と両側付属器からも小腸切除検体に認められる腫瘍細胞と同様の形態を示した腫瘍の転移を認めた。術後経過は良好で術後10日目に退院となった。乳癌の遠隔転移臓器は主に肺、肝、骨、リンパ節であり消化管転移の報告は少ない。また、乳癌の小腸転移はその終末期に生じる場合が多く、外科的治療の対象になることは少ない。しかしながら、QOL改善目的のために手術適応がある場合もある。乳癌小腸転移に対する手術施行例の報告は稀であり、若干の文献的考察を加え報告する。

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:手術療法

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