演題抄録

デジタルポスター

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

自然退縮を認めた潜在性乳癌、腋窩リンパ節転移の一例

演題番号 : P56-2

[筆頭演者]
高山 伸:1 
[共同演者]
荻澤 佳奈:1、栗原 俊明:1、椎野 翔:1、神保 健二郎:1、岩本 恵理子:1、麻賀 創太:1、吉田 正行:2、木下 貴之:1

1:国立研究開発法人国立がん研究センター・乳腺外科、2:国立研究開発法人国立がん研究センター・病理科

 

【はじめに】悪性腫瘍の自然退縮(spontaneous regression)は、「無治療または有効とされる治療を受けていないが、腫瘍または転移巣が完全にあるいは部分的に消失(縮小)したもの」と定義されている。乳癌の自然退縮は極めて稀であるが、今回、病理組織学的に腫瘍の自然消退の可能性が示唆された潜在性乳癌、腋窩リンパ節転移の一例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。
【症例】67歳、女性。左腋窩の痛みとしこりを主訴に前医受診。マンモグラフィ、乳腺超音波検査、PET-CT、乳腺MRI、骨シンチ等の精査を施行した。直径1.2cm大の左腋窩リンパ節の腫大を認め、癌の転移が疑われたが、画像上原発巣の同定は困難であった。針生検を施行したところ、組織学的には広範な壊死を示す腫瘍組織を認め、一部に形態観察可能な腫瘍細胞が確認された。免疫染色では、AE1/AE3(+)、ER(>90%)、 PgR(<1%)、 HER2 (score 0)であり、乳癌の腋窩リンパ節転移や副乳癌が疑われた。最終的に原発不明癌(潜在性乳癌+腋窩リンパ節転移の疑い)の診断で腋窩リンパ節郭清と温存乳房照射を勧められたが、前医では診断までに約2か月の時間を要したため、当院での治療を希望し紹介となった。当院で乳腺超音波検査、PET-MRIを再検したところ、左腋窩リンパ節は0.9cm大でやや前医での所見と比較して縮小していた。また、左乳房C領域に0.3cm大の濃縮嚢胞を疑う所見が前医同様認められたが、MRIにて若干の造影所見を伴っていた。以上より、原発不明癌(潜在性乳癌+腋窩リンパ節転移の疑い)の診断で、左乳腺腫瘤に対し摘出生検術と左腋窩リンパ節転移に対して腋窩リンパ節郭清を行った。組織学的には、左乳腺に0.3cmの範囲に腺癌を認め、リンパ球浸潤を伴って不整腺管状増殖を呈する境界は比較的明瞭な腫瘍であった。免疫染色では、AE1/AE3(+)、GATA3(+;weak)、 ER(>95%)、 PgR(60%)、 AR(+)、HER2(score2+)、HER2-FISH(equivocal)だった。また、左腋窩リンパ節では、壊死および組織球集簇を認め、Viableな腫瘍細胞は消失していた。元々腫瘍が存在したと推察される領域が泡沫状組織球によって置換されており、有効な術前療法が行われていないので、腫瘍の自然消退の可能性を示唆する組織像であった。

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:腫瘍免疫

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