演題抄録

デジタルポスター

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

陽子線療法とmFOLFIRINOX療法の追加によって切除可能となった局所進行膵癌の一例

演題番号 : P48-5

[筆頭演者]
島津 和弘:1 
[共同演者]
井上 正広:1、吉田 泰一:1、田口 大樹:1、福田 耕二:1、柴田 浩行:1

1:秋田大学・大学院医学系研究科・医学専攻 腫瘍制御医学系臨床腫瘍学講座

 

【背景】
2003年の膵癌全国登録調査報告では膵癌の83 %がStage IVであり、最近の米国国立癌研究所のデータでも切除可能な膵癌は20%と報告されている。このように膵癌は診断時に局所進行で切除不能な症例が少なくない。現在、これらに対して化学療法や放射線治療を行い、切除可能性につなげる術前治療が試みられている。化学療法としてはFOLFIRINOXが切除性の向上に寄与している。また、膵臓の周囲は小腸などの消化管に囲まれており、放射線被曝による潰瘍や出血のリスクは無視できない。しかし、Bragg peak により周辺への被曝を抑えることができる陽子線治療の有効性が検証されている。今回、陽子線治療を行い、FOLFIRINOX療法を追加して切除可能となった症例を報告する。

【症例】
62歳の男性。201X年11月腹痛を主訴に発症。同年12月A病院にて上腸間膜動静脈、腹腔神経叢への浸潤があり、切除不能と診断された。201X + 1年1月から2月までB病院で陽子線治療(54 Gy/27 Fr)を施行した。同年3月当科紹介。同年4月から翌年2月までFOLFIRINOX療法を11コース施行した。201X + 1年11月PET-CTで取り込みなく、201X + 2年2月CTで原発巣は著明に縮小していた。同年3月に亜全胃温存膵頭十二指腸切除を施行し、R0手術であった。現在、術後補助化学療法を施行している。化学療法開始後4ヶ月目にHbが7.4 g/dL(Grade 3)の血液毒性を認めたのみであった。

【考察】
Petrelliらの報告(2015年、Pancreas)によれば切除不能またはボーダーライン膵癌の12研究のメタ解析では術前FOLFIRINOX療法による切除率は43%。そのうちR0割合は91.6%と報告された。特に強い有害事象はなく、発熱性好中球減少症は0 - 4.9 %であった。術前陽子線治療は少数例の報告しかない。マサチューセッツ総合病院からcapecitabineとの併用で37/47(79 %)が切除可能になったと報告された。
本症例は異時性の術前陽子線治療とFOLFIRINOX療法により切除可能となった。

キーワード

臓器別:膵臓

手法別:化学療法

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