演題抄録

デジタルポスター

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

化学療法が奏効し長期生存している高齢者大腸癌多発肝転移の1例

演題番号 : P34-5

[筆頭演者]
吉本 勝博:1 
[共同演者]
櫻井 健太郎:1、山口 紫:1、黑阪 慶幸:1、石田 哲也:1

1:加賀市医療センター

 

症例は84歳、男性。2012年11月 下痢、下血にて近医より紹介され当院受診。大腸内視鏡検査の結果、S状結腸にほぼ全周性の2型腫瘍を認め、生検にて中分化腺癌の診断を得た。腹部CTでは局所リンパ節腫大および肝両葉に腫瘍を認め、多発肝転移を伴うS状結腸癌の診断のもと、S状結腸切除術(D3)を施行した。病理結果はSS,N1,H1,P0,M0 stageⅣ、KRAS wild typeの診断であった。術後多発肝転移に対しては、高齢ではあるがPS良好で、本人、御家族の希望により化学療法を行う方針となり、2013年1月よりmFOLFOX6+Bmab療法を60% doseより開始とした。2コース目より80% dose(bolus 5-FU抜き)、8コース目より100% doseとし計11コース行い、有害事象としてはL-OHPによる末梢神経障害を認めたが休薬の必要はなかった。7月に施行したCTでは腫瘍は増大傾向にあり、FOLFIRI+Bmab療法に変更し開始とした。計8コース行い有害事象としてはgrade 2の好中球減少のみであったが、12月のCTでは腫瘍はさらに増大傾向を認めたため、CPT-11+Pmab療法に変更し開始とした。1コース終了後に著明な黄疸と肝障害を認めたが、予防的に投与されたミノマイシンによる薬剤性肝障害の診断となり、保存的加療にて軽快し、その後もCPT-11+Pmab療法を継続したところ、3コース終了した2014年3月のCTでは腫瘍は著明な縮小を認めた。その後はPmabによる有害事象としてのざ瘡様皮疹や爪囲炎を認めるも、皮膚科と共同しながら治療を行い、また本人の症状や希望に沿い適宜薬剤を休薬、減量しながら化学療法を継続した。2017年2月までに計51コース行い、3月よりPmab単剤療法に変更し化学療法を継続しているが、90歳となる現在までのところ明らかな腫瘍の増大を認めていない。
近年の高齢化社会、大腸癌罹患率の上昇により、今後ますます高齢者大腸癌が増加し、化学療法を行う機会も増えてくることが予想される。高齢者に対する化学療法は、併存疾患の有無や健康状態、PSなどを考慮し、有害事象の予防に努めながら、個別に実施すべきと考えられる。
今回化学療法が奏効し長期生存している高齢者大腸癌多発肝転移の1例を経験したので、若干の文献的考察を加え報告する。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:化学療法

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