演題抄録

デジタルポスター

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

高齢frailに対しカペシタビン単独療法にてCRを得た転移性大腸癌の1例

演題番号 : P34-3

[筆頭演者]
山本 澄治:1 
[共同演者]
遠藤 出:1、吉田 修:1、久保 雅俊:1、宇高 徹総:1、水田 稔:1

1:三豊総合病院・外科

 

【目的】高齢frail患者に発症したS状結腸癌の多発縦隔リンパ節転移に対し、カペシタビン単独療法が著効しCRが得られた1例を経験したので報告する.
【症例】75歳,女性.肝硬変と慢性関節リウマチの既往を認めSulindacを200mg/day内服していた.腹部膨満感を自覚して受診し大腸内視鏡検査を予定した.検査前の前処置にて腸閉塞を発症し,検査にてType2の全周性S状結腸癌による狭窄が確認され,大腸ステントによる減圧を行った.術前精査にて左肺転移とChild-Pugh 9点,Grade Bの肝硬変を認め,S状結腸切除D1郭清,人工肛門増設術を施行した.PSは2,総ビリルビン値3.3mg/dlの肝硬変を伴うfrail状態から術後補助化学療法は施行せず経過観察とした.10か月後に施行したCT検査にて両下葉に肺転移が確認された.総ビリルビン値1.8mg/dl,Child-Pugh 6点,Grade Aに肝機能の改善も得られたことから,11カ月後に両側肺部分切除術を施行した.肺転移術後6カ月のCT検査にて新たに多発縦隔リンパ節腫脹を認め,2か月後にその増大とCEA:106ng/mLまで上昇を認めたことから,多発縦隔リンパ節転移と診断した.frail状態ではあるが,総ビリルビン値は1.2mg/dlまで改善が得られており,カペシタビン単独療法を導入した.2コース施行後に,CEAは4.0ng/mLと著減し正常化した.3か月後のCTにて縦隔リンパ節は消失し,clinical CRが得られた.6か月間治療を継続し希望にて化学療法を中止した.中止後も18か月間CRを維持している.
【考察】 高齢のfrail患者に対する治療方針はいまだ確立していない.カペシタビン単独療法は多剤併用療法と比較して毒性が軽く,近年frail患者への導入で3~4%のCRの報告もなされている.また,Sulindac(商品名;クリノリル)はCOX-1,COX-2阻害薬で,大腸癌細胞株で増殖を抑制することが報告されている.臨床でも転移性大腸癌に対しカペシタビンとCOX-2阻害薬の併用にてOSとPFSの延長に加え,17%でのCRも報告されている.StageIV大腸癌においてカペシタビン単独でのCRの報告は少なく,偶然のSulindac併用も奏功した可能性も示唆された.
【結語】高齢者frail転移性大腸癌の化学療法においてカペシタビン単独療法やCOX阻害剤併用での奏功の可能性も期待し,今後の検討が必要である.

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:化学療法

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