演題抄録

デジタルポスター

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

FOLFOX+Panitumumabが奏効後、薬剤性肺障害をきたした多発肝転移を伴うS状結腸癌の1例

演題番号 : P29-6

[筆頭演者]
菅野 博隆:1 
[共同演者]
橋本 敏夫:1、佐藤 佳宏:1、芳賀 淳一郎:1

1:米沢市立病院・外科

 

【はじめに】新しい抗癌剤や分子標的薬の導入により、大腸癌に対する化学療法は近年急速に進歩しており、生存期間の延長をもたらしている。また化学療法による有害事象の管理も進歩はしているものの、薬剤性肺障害はいまだに重篤化し致死的転帰を取る例も散見される。今回 mFOLFOX6+Panitumumab(P-mab)が奏効した後、薬剤性肺障害をきたした多発性肝転移を伴うS状結腸癌の1例を経験したので報告する。【症例】78歳 女性。既往歴;高血圧 高脂血症。現病癧;2016年4月 体重減少、右季肋部痛を自覚し、近医にて施行した腹部USにて多発性肝腫瘍とCEA高値を認め、当院消化器内科紹介受診。入院時現症;軽度貧血あり 黄疸無し。胸腹部に理学的異常なし。術前検査にて多発性肝転移・肺転移を伴うStageⅣのS状結腸癌、RAS野生型と診断され、当科にてmFOLFOX6+P-mab療法を6コース施行し、原発巣、転移巣とも著明に縮小した。この時点では特に有害事象を認めなかった。その後の治療法を検討したが、縮小したものの両葉に多発性肝転移を認めたため、さらに6コース継続したところ、呼吸困難を認め薬剤性肺障害疑いにて入院。胸部CTにて両肺のびまん性スリガラス状陰影、浸潤影、牽引性気管支拡張像を認め、KL-6・SP-D高値、β-D-グルカン正常値にて化学療法による間質性肺障害(IDL);びまん性肺胞障害と診断された。ICU入室し非侵襲性陽圧換気およびステロイドパルス療法を施行したが肺障害は改善せず、入院12日目に経鼻挿管人工呼吸と再度ステロイドパルス療法を施行した。その後も肺障害は増悪し、入院37日目に死亡した。【考察】本例はmFOLFOX6+P-mab療法が奏効し肺転移は消失、肝転移も著明に縮小したが、6コース後にConversion Therapyとしての手術治療は選択せずに化学療法を継続した。肝転移は両葉に多発し残存していたがこの時点で原発巣及び主要肝転移を切除し、その後化学療法を施行することも検討すべきだったと思われた。また12コース後にIDLの兆候も認めたが、患者の自己判断にて来院せず、やや治療が遅れ重篤化に影響した可能性があると思われた。【まとめ】RAS野生型切除不能大腸癌症例に、2剤併用+抗EGFR抗体療法は著明に奏効する例も少なくないが、本例の如き致死的な間質性肺疾患を発症する可能性があり、十分な注意と適切な間隔での画像検査および患者さん、御家族への詳細な説明が重要であると思われた。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:化学療法

前へ戻る