演題抄録

デジタルポスター

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

大腸癌化学療法に伴う肺血栓塞栓症6例の検討

演題番号 : P29-1

[筆頭演者]
中村 慶史:1 
[共同演者]
寺井 志郎:1、岡本 浩一:1、中沼 伸一:1、木下 淳:1、牧野 勇:1、林 泰寛:1、尾山 勝信:1、井口 雅史:1、宮下 知治:1、田島 秀浩:1、高村 博之:1、二宮 致:1、伏田 幸夫:1、太田 哲生:1

1:金沢大学・附属病院・消化器・腫瘍・再生外科

 

【はじめに】静脈血栓塞栓症(VTE:venous thromboembolism)のリスク因子には、VTE既往、血栓性素因、年齢、悪性腫瘍、化学療法、中心静脈カテーテル留置、安静臥床などが挙げられ、癌化学療法症例は複数のリスク因子を有するVTEハイリスクの症例群と考えられる。VTEは肺血栓塞栓症(PTE:pulmonary thromboembolism)と深部静脈血栓症(DVT:deep venous thrombosis)に分類されるが、PTEはその約90%がDVTに起因し、時に致死的になり得る重要な疾患である。
【対象と方法】2006年4月から2016年3月までに当科で化学療法を施行した大腸癌症例のうちPTEを認めた6例を後方視的に検討した。
【結果】年齢は中央値65歳(41~82歳)、全例男性であった。化学療法の目的は、根治度A術後の補助化学療法2例、根治度B術後の補助化学療法1例、Ⅳ期・転移再発に対する化学療法3例であった。全例自覚症状はなく、定期検査のCTで偶発的に発見された。2例にDVT既往があった。レジメンは、Xeloda 2例、FOLFOX 1例、Bevacizumab+Xeloda 1例、Bevacizumab+Xelox 1例、Cetuximab+FOLFOX 1例であり、治療開始から発症までの期間は61~182(中央値142)日であった。PTE診断時のDVT検索では、DVTの既往がある2例以外に、2例にDVTが認められた。また治療開始前のDダイマー値は6例中4例で基準値(<1.0μg/ml)以下であったが、PTE発症時は2.2~7.8(中央値3.6)μg/mlと全例基準値以上であった。治療はワーファリン投与2例、エドキサバン投与1例、未分画ヘパリン点滴後ワーファリン移行2例、未分画ヘパリン点滴後エドキサバン移行1例であった。5例のPTEは消失し、消失までの期間は9~490(中央値32)日であった。
【結語】大腸癌化学療法におけるKey drugであるBevacizumabには血栓塞栓症のリスクがあるとされているが、Bevacizumabだけではなく、他のレジメンでの発症も認められた。また発症までの期間は約2~6ヶ月であり化学療法開始後比較的早期の発症に注意が必要と考えられた。全例無症状で定期CTで偶発的に指摘されたこと、PTE発症時にはDダイマーの上昇が認められていることから、PTE早期発見にDダイマー測定が有用である可能性が示唆された。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:化学療法

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