演題抄録

デジタルポスター

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

大腸癌イレウス症例における大腸ステントの有用性

演題番号 : P23-7

[筆頭演者]
後藤 晃紀:1 
[共同演者]
山岸 茂:1、酒井 淳:1、堀内 真樹:1、伊藤 彗:1、中堤 啓太:1、山本 晋也:1、南 裕太:1、牧野 洋知:1、仲野 明:1

1:藤沢市民病院・消化器外科

 

【背景】大腸癌イレウスに対する治療として, 緊急手術や経肛門イレウス管による減圧後の切除のほかに, 2012年より大腸ステント治療が適応となった. しかしその安全性や有用性, さらに長期予後については未だ一定の見解が得られていない.
【目的】当科で経験した大腸癌イレウス症例に対する大腸ステントの有用性を検討する.
【対象と方法】2001年6月から2016年10月までに当科で術前腸管減圧後に切除を施行した大腸癌イレウス症例59例を対象とした. 大腸ステントの適応は, 盲腸から直腸RSまでの症例とした. 大腸ステントで減圧を行った17例 (S群)と, 経肛門イレウス管で減圧を行った40例 (I群)の2群に分け, 患者背景, 手術成績, 術後短期成績, 長期成績についてretrospectiveに比較検討した.
【結果】年齢, 性別, 病変の局在や進行度は両群間で差がなかった. 減圧後に大腸閉塞スコア(CROSS)が4まで改善した症例は, S群で16例(94%)に対しI群で3例(8%)と, S群で多かった(p<0.001). それに伴い術前平均PNI(小野寺)はS群で43.0に対しI群で37.0と, S群で高かった(p=0.001). 治療開始から手術までの平均期間は, S群で16日に対しI群で12日と, S群で長かった(p=0.047). 時期的背景も影響しているが, 腹腔鏡手術はS群で13例(76%)に対し, I群で5例(12%)とS群で多く(p<0.001), 平均出血量は, S群で59mlに対しI群で264mlとS群で少なかった(p=0.029). また, D3郭清を施行できた症例はS群で17例(100%)に対しI群で24例(57%)とS群で多く(p=0.001), 根治度Aの症例は, S群で16例(94%)に対しI群で27例(64%)とS群で多かった(p=0.017). 人工肛門造設併施症例はS群で0例に対してI群で13例(31%)であった (p=0.006) . Clavien-Dindo GradeⅡ以上の合併症発生は, S群で3例(21%)に対しI群で15例(35%)と両群間で差がなかったが, SSI発生は, S群で0例に対しI群で11例(26%)であり(p=0.015), 術後平均在院日数は, S群で10日に対しI群で24日とS群で短かった(p=0.041).長期成績に関しては, 全体の平均観察期間は33か月で, 特にS群の平均観察期間は20か月とまだ短いが, 現在のところ無再発生存や全生存において両群間で差は認めていない.
【結語】大腸癌イレウス症例に対する大腸ステント治療は, 大腸閉塞を解除して術前経口摂取を可能にし, 減圧により人工肛門造設の回避と根治性の高い腹腔鏡下手術を行うことができる可能性があり, 短期成績からは有用と考えられた.

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:手術療法

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