演題抄録

デジタルポスター

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

胃癌術前化学療法のoxaliplatin投与にてCharcot-Marie-Tooth病が顕性化した一例

演題番号 : P181-5

[筆頭演者]
大田 多加乃:1 
[共同演者]
小西 小百合:1、間中 大:1、安 英男:1、西躰 隆太:1、濱洲 晋哉:1、川口 清貴:1、工藤 亮:1、西川 泰代:1、服部 卓:1

1:社会福祉法人京都社会事業財団京都桂病院・消化器センター外科

 

胃癌の術前化学療法に関する明確なエビデンスは未だ確立されておらず、わが国でも複数の臨床試験が進行中である。近年、胃癌化学療法に追加されたoxaliplatinを併用したSOX療法(S-1+oxaliplatin)の局所進行胃癌に対する術前化学療法としての有効性を示す報告がなされている。oxaliplatinは腎毒性が軽度という利点を有する一方で、骨髄抑制や末梢神経障害といった有害事象が特徴である。今回、我々は胃癌の術前化学療法としてSOX療法を施行し、有害事象として出現した末梢神経障害により顕性化したCharcot-Marie-Tooth病(CMT)の一例を経験したので報告する。
症例は、53歳、女性。心窩部痛を契機に施行された上部消化管内視鏡検査で胃体上部後壁の潰瘍性病変を指摘され、精査加療目的に当院紹介となった。当科での審査腹腔鏡では腹膜播種を認めず、cT3(ss)N2M0 P0CY0stageⅢAの進行胃癌と診断され、院内臨床研究としてSOX療法による術前化学療法を開始した。oxaliplatin投与後day1より両上肢の手袋靴下型の感覚障害、両アキレス腱反射の低下および両下腿の筋力低下を認めた。day3には自力で起床できなくなり、同日、当科に緊急入院となった。oxaliplatinのoxalate基によるCa、Mgキレート形成による影響を考慮し、CaおよびMgの点滴補充を開始するも効果は得られなかった。患者に改めて確認すると、以前に末梢神経障害の既往があり、娘がCMTであること、患者自身も過去にCMTを疑われていた既往があることから、oxaliplatinによる末梢神経障害によってCMTが顕性化したと考えられた。SOX療法は中止とし、5日間のステロイドパルスとビタミンB12の点滴を行った。day4には自力で起床でき、day5には歩行可能な状態に回復した。術前化学療法2コース目からはSP療法(S-1+CDDP)に変更した。経過中にgrade 2の骨髄抑制は認めたものの、長期的な治療中断に至らず、化学療法2コース目終了後に腹腔鏡下胃全摘術を施行した。
悪性腫瘍患者でCMTを有する症例において、術前化学療法を施行する際には末梢神経障害の増悪を念頭におき、末梢神経障害の有害事象を有するoxaliplatinの適応・投与に関しては慎重に検討すべきと考えられた。

キーワード

臓器別:胃・十二指腸

手法別:化学療法

前へ戻る