演題抄録

デジタルポスター

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

術前DCS療法にて同時性肝転移が病理学的に完全奏功となった胃癌の1例

演題番号 : P178-7

[筆頭演者]
瀬谷 知子:1 
[共同演者]
宮下 正夫:1、横室 茂樹:1、堀場 光二:1、松本 智司:1、桜澤 信行:1、川野 陽一:1、松田 明久:1、山初 和也:1、関口 久美子:1、篠塚 恵理子:1、安藤 文彦:1、増田 寛喜:1、川島 万平:1、内田 英二:2

1:日本医科大学・千葉北総病院・外科、2:日本医科大学・付属病院・外科

 

胃癌肝転移は非治癒因子であり治療は原則全身化学療法であるが,近年化学療法の進歩により根治手術可能症例となる報告も散見される.今回多発肝転移,リンパ節転移を伴う胃癌に対して術前DCS療法を施行しPRを得,肝転移を含めた根治手術が可能となった症例を経験したので報告する.症例は68歳,男性.主訴:心窩部痛.現病歴:2か月前よりの心窩部痛にて前医受診,胃癌,多発肝転移,リンパ節転移の診断にて当院に紹介受診となる.既往歴:特記すべきことなし,家族歴:父が大腸癌,母方の祖母が胃癌で死亡.嗜好歴:タバコ50本/日×50年,日本酒2合/日×40年.初診時現症:表在リンパ節触知せず,特記すべき理学所見なし.画像検査では上部消化管内視鏡検査にて胃体中部後壁から小弯にかけて2型の腫瘍を認め,生検で低―中分化の腺癌の診断,CTにて胃小弯,大,弯,幽門周囲,総肝動脈周囲リンパ節の腫大,肝両葉に複数の転移を認め,stage IV胃癌の診断であった.このためDCS療法を2クール施行,PRを得たため2クール追加,この時点で手術を検討したが多発肝転移があるため適応なしとのことで,同療法を3クール追加したところ肝転移巣が更に縮小したためMRI,PET施行,PETで肝に取り込みを認めなかったため,肝転移巣のCRを得たと判断,リンパ節廓清を伴う胃全摘術,肝部分切除術施行した.病理検査の結果はM,27x27mm,well,pT1b(SM),ly1v1,pN2(5/13),Grade 1a,肝転移巣は壊死巣となっておりviable cellを認めなかった.術後S-1/CDDP療法を1年施行後S-1単独療法へ移行し経過観察中だが,術後1年1月経過した現在再発を認めていない.肝転移を伴う胃癌に対して胃癌治療ガイドライン第4版では個数が比較的少なく他に非治癒因子がなければ外科的切除を含めた集学的治療が提案されると記載しているが,松田らによると肝転移巣が3個以内で片葉に限局するなどが切除の適応としている.本症例では少なくとも6個の転移巣を認め,この適応ではなかったが術前の化学療法により肝転移巣は画像上CRとなり切除可能となった.今後も肝転移症例に対して積極的に化学療法を行いconversion therapyを目指したいと考えている.

キーワード

臓器別:胃・十二指腸

手法別:化学療法

前へ戻る