演題抄録

デジタルポスター

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

術前補助化学療法を施行したHER2陽性食道胃接合部癌の1例

演題番号 : P178-2

[筆頭演者]
赤池 英憲:1 
[共同演者]
河口 賀彦:1、平山 和義:1、中田 祐紀:1、白石 謙介:1、渡邉 光章:1、細村 直弘:1、雨宮 秀武:1、川井田 博充:1、須藤 誠:1、河野 寛:1、井上 慎吾:1、市川 大輔:1

1:山梨大学・医学部・第一外科

 

症例は74歳、男性。食物のつかえ感を自覚し近医を受診。上部消化管内視鏡検査にて食道胃接合部癌と診断され精査加療目的に当院紹介となった。精査にて食道胃接合部癌GE,T4b(SI,横隔膜)N2M0,StageIIICと診断した。生検は高~中分化腺癌でありHER2 score 3+であった。また胃体下部に胃癌も認め、T2(MP)N0M0,StageIBと診断した。生検は中~低分化腺癌でありHER2 score 1+であった。CT検査でBulkyなNo.11pリンパ節転移を認めたため術前補助化学療法の方針とした。HER2陽性であり、Trastuzumab(T-mab)+Capecitabine+Cisplatin(CDDP)による化学療法を2コース施行した。施行前よりCcr値52ml/minと低下を認めていたが、1コース終了後にCcr値は37ml/minまで増悪したため、2コース目はCDDPを除いて化学療法を施行した。他にCTCAEのGrade2以上の有害事象は認めなかった。2コース終了時のCTで食道胃接合部癌およびNo.11pリンパ節の縮小を認めたが、標的病変の縮小率は30%未満であり術前の治療効果判定はRECIST SDと判断した。手術は胃全摘術(D2+No.19,20,110,111,16a2lat)、脾摘出術および経裂孔的下部食道切除術を施行した。食道裂孔周囲の横隔膜はくり抜くように合併切除し、肉眼的根治術が施行できた。摘出標本で食道胃接合部に60x52mm大の3型病変と胃体中部前壁に30x24mm大の1型病変を認めた。病理組織学検査では食道胃接合部癌はT4a(SE)N1M0,StageIIIAと診断された。腫瘍周囲に広範な線維化を伴い、泡沫細胞の集簇巣やコレステリン結晶の沈着等を認め術前化学療法による影響が考えられたが、残存腫瘍ではviableな細胞を認めており治療効果判定はGrade 1aと判定された。また胃癌はT1b(SM)N0M0,StageIAと診断された。腫瘍部の粘膜下層に広範な線維化を認め化学療法の影響が考えられたが、こちらも残存腫瘍ではviableな細胞を認めており治療効果判定はGrade 1aと判定された。術後経過は良好であり合併症なく退院された。外来で術後補助化学療法としてS-1を1年間施行した。現在、術後30カ月となるが無再発生存中である。
胃癌の術前補助化学療法は、大型3型および4型症例に対してはJCOG0210、高度リンパ節転移症例に関してはJCOG0405の結果によりS-1+CDDPの有用性が示された。HER2陽性胃癌では高度リンパ節転移症例に対するT-mab+S-1+CDDPによる臨床研究が現在進行中である。今回我々はHER2陽性胃癌に対し術前補助化学療法を施行した1例を経験したので報告する。

キーワード

臓器別:胃・十二指腸

手法別:分子標的治療

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