演題抄録

デジタルポスター

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

上部消化器癌におけるMMP阻害薬とNK細胞に対する感受性について

演題番号 : P175-1

[筆頭演者]
白石 謙介:1 
[共同演者]
河口 賀彦:1、平山 和義:1、中田 祐起:1、赤池 英憲:1、渡邊 光章:1、細村 直弘:1、雨宮 秀武:1、川井田 博充:1、須藤 誠:1、井上 慎吾:1、河野 寛:1、三村 耕作:2,3、河野 浩二:2,3、市川 大輔:1

1:山梨大学・第一外科、2:福島県立医科大学・器官制御外科、3:福島県立医科大学・先端癌免疫治療研究講座

 

【はじめに】マトリックスメタロプロテアーゼ (MMP) はコラーゲンを主とする細胞外基質の維持,再構築に必要であり,悪性腫瘍の浸潤,転移に関わる重要な役割を演ずる.またNK細胞は,自然免疫に属し,T細胞とは異なり抗原提示機構を介さずに癌を攻撃できるリンパ球である.NK細胞の活性化は,細胞表面上にあるNKG2Dリガンドとレセプターとの抑制化シグナル,活性化シグナルのバランスによって制御されている.我々は癌微小環境におけるNKG2DリガンドとMMP活性の関係と,NK細胞傷害活性に与える効果について検討した.【方法】9種類の食道癌細胞株と10種類の胃癌細胞株を用いて細胞表面上のNKG2Dリガンド (MICA/B,MICA,MICB,ULBP1,ULBP2,ULBP3) の発現を調べ,細胞培養の上清中のMMP活性をザイモグラフィーで測定した.次にMMP阻害薬で処置した細胞表面上のNKG2Dリガンド(MICA/B,ULBP2) の発現を測定した.またMMP阻害薬で処置した細胞を用いて細胞傷害活性をCytotoxicity assayにて測定した.細胞培養液中の上清に含まれる可溶性NKG2D ligandsをELISAにて測定した.102例の胃癌症例を対象としてNKG2Dリガンドの発現(MICA/B,ULBP2)とMMP9の発現を免疫組織学的染色で調べた.【結果】細胞株表面上のNKG2Dリガンドの発現はin vitroで培養すると著しく減少し,MMP活性は上昇した.MMP阻害剤で処置すると,細胞表面上のNKG2Dリガンドの発現レベルは減少せず,維持された.またMMP阻害薬で処置した細胞を用いると,NK細胞の細胞傷害活性は上昇した.培養液中の可溶性NKG2D ligandsは,培養するにつれて増加し,MMP阻害薬を使用すると減少した.免疫組織学的染色より,NKG2Dリガンドの発現とMMP9との発現に逆相関の関係を認めた.【考察】食道癌細胞株,胃癌細胞株においてMMP阻害薬によりNKG2Dリガンドの発現が維持させ,NK細胞傷害活性を増強することがわかった.NK細胞を介したがん細胞の免疫回避機構の一つとして,MMP活性によるNKG2Dリガンドの発現低下が,NK細胞の感受性低下を導くことが示唆された.

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:腫瘍免疫

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