演題抄録

デジタルポスター

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

大腸癌切除術に対するクリニカルパス改訂による医療経済的効果の検討

演題番号 : P152-2

[筆頭演者]
岩本 和香子:1 
[共同演者]
松本 晃太郎:1、江野 みどり:1、田﨑 年晃:2、小川 克大:3、緒方 健一:3、生田 義明:3、赤星 慎一:3、林 洋光:3、武山 秀晶:3、髙森 啓史:3

1:社会福祉法人恩賜財団済生会熊本病院・医療支援部医事企画室、2:社会福祉法人恩賜財団済生会熊本病院・医療支援部、3:社会福祉法人恩賜財団済生会熊本病院・外科センター

 

【背景と目的】当院の外科では、2000年から結腸直腸手術に対し、腹腔鏡下結腸切除パス、開腹結腸切除パスおよび直腸前方切除パスの3つのクリニカルパス(以下、パス)を運用していた。欧州にて術後回復促進を企図して提唱されたenhanced recovery after surgery(ERAS)の概念を導入し、さらに3つのパスをひとつに統合し、2014年5月から運用を開始した(以下、統合パス)。その後、統合パスのバリアンス分析から問題点を抽出し、術前フレイル評価、術後リハの介入、カロナール定期内服による疼痛コントロールおよび術後創部感染予防のための術当日の早期シャワーを導入し、2015年10月から運用を開始した(以下、改訂①パス)。さらに、改訂①パスのバリアンス分析および問題点抽出を行い、術後輸液の減量、アセリオ定期投与、POD1に全リハビリ介入、術前絶食期間撤廃、術後食上げの簡略化に伴うパス日数8日を導入し、2016年11月から運用している(以下、改訂②パス)。今回、クリニカルパス改訂の有用性について医療経済的効果の観点から検討した。
【対象と方法】統合パスを適応した患者63例、改訂①パスを適応した患者62例、改訂②パスを適応した患者45例の合計170例を対象とした。医療費は、厚労省に提出するEFファイルを使用した。統計解析にはR、SPSSを使用し、術後在院日数への影響因子の分析には重回帰分析、パス改定の入院医療費への効果についてはMann-Whitney U検定およびKruskal-Wallis検定を使用し、有意水準はp<0.05とした。
【結果】在院日数の中央値は、統合パスは12.0日、改訂①パスは11.0日と短縮傾向にあり、改訂②パスは9日で有意に短縮した。術後在院日数の中央値は、統合パスは10.0日、改訂①パスは8.0日で有意に短縮し、改訂②パスは6日で有意に短縮した。重回帰分析により、術後在院日数はストーマ造設および術後創部感染を含めた合併症により有意に延長していた。入院医療費の中央値は、統合パスは1,501千円、改訂①パスは1,358 千円と減少傾向にあり、改訂②パスは1,315千円と統合パスに比して有意に減少した。一方、再入院率と転院率は、3群間で有意差を認めなかった。
【結語】バリアンス分析に基づいたパスの改訂を継続してきた事で、医療の質を担保しつつ術後在院日数および入院医療費の減少を可能とし、患者の経済的負担の軽減につながった。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:医療経済

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