演題抄録

デジタルポスター

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

早期子宮悪性腫瘍へのセンチネルリンパ節ナビゲーション手術導入の妥当性の検討

演題番号 : P149-5

[筆頭演者]
山下 剛:1 
[共同演者]
西澤 庸子:1、浅野 拓也:1、下山 則彦:2

1:市立函館病院・産婦人科、2:市立函館病院・病理診断科

 

一般に早期癌の手術では原発巣の摘出と領域の転移診断手術が施行される。早期子宮悪性腫瘍での領域診断のためには所属リンパ節転移摘出術として骨盤リンパ節郭清術が要求されるため、郭清に伴う術中損傷や術後下腿浮腫が一定頻度発症する。センチネルリンパ節ナビゲーション手術(以下SNNS)とは、RI等のトレーサを投与し最初に骨盤内センチネルリンパ節(以下SN)を同定・摘出し、術中迅速診断の結果によってその後の術式を決定する方法である。転移陰性診断時における郭清の省略により手術操作による合併症の減少のみならず、ultra-stagingに基づく追加治療の機会獲得による再発率の減少も期待できる。しかし最大の目的である郭清省略に至るためにはSN生検が骨盤リンパ節郭清術による転移診断とその質において同等以上であることを示す必要があり、最終的にそれは転移同定率やリンパ節への再発率に反映されることになる。またこれらが同等以上であっても下腿浮腫などの合併症が従来法と同程度に多ければその普及を妨げる問題となる。当科では倫理委員会の承認後、2012年より転移陰性診断時に本人同意の下に郭清を省略するSNNSを開始した。対象は子宮頸癌IB1期以下および子宮体癌術前推定IA期の連続68症例で、SN同定率は98.5%(両側で82.3%)であり、61例に片側あるいは両側の郭清が省略された。その61例中ITCを含めたリンパ節転移は11例(9例はultra-staging陽性)となり、pTNM分類に基づくupstage例には追加治療が施行された。観察期間中央値26.3ヶ月で61例中再発は、pT2bN0頸癌CCRT追加後の31ヶ月目肺転移の1例で、リンパ節再発は0例であった。郭清省略患者の術後インタビューでは郭清省略側の下腿浮腫自覚例は0例であったが、2016年よりICG蛍光下肢リンパ管造影の臨床試験を開始したため、SNNS12例に検討を行ったところ両側郭清省略例および片側郭清群の郭清省略側では全く異常所見を認めなかった。片側郭清の1症例で郭清側に下腿浮腫の自覚とともに異常所見が認められたが、LVAにより下腿浮腫が改善した。適応やコストの問題を解決する必要はあるが、追加治療のない再発低リスクが想定される早期子宮悪性腫瘍患者へのSNNSの導入は、中期的なデータではあるが再発率の観点では従来法と同等以上であり、不必要な拡大切除を抑制することで合併症を低減しQOLを向上させる可能性が示されたため、今後の標準治療への導入への妥当性があると考えられた。

キーワード

臓器別:子宮

手法別:手術療法

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