演題抄録

デジタルポスター

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

性腺外胚細胞腫と鑑別診断に難渋した縦隔原発の淡明細胞肉腫の一例

演題番号 : P146-5

[筆頭演者]
邨野 千尋:1 
[共同演者]
武田 弘幸:1、佐野町 友美:1、神田 悟:1、熊西 亮介:1、鈴木 尚樹:1、中村 元治:1、渡邉 要:1、中村 翔:1、鈴木 修平:1、福井 忠久:1、吉岡 孝志:1

1:山形大学・医学部附属病院・腫瘍内科

 

【背景】淡明細胞肉腫は軟部肉腫の1%以下を占める稀な腫瘍である. 主に下肢腱・腱膜から発生し, 初発時に遠隔転移を伴っている場合が多い.
【症例】20代男性, 発熱, 咳嗽, 血痰を主訴に近医を受診し, 抗菌薬治療を受けたが, 症状の改善なくCT検査で, 縦隔腫瘍および同腫瘍による左肺下葉の閉塞性無気肺を指摘された. 前医にて経気管支縦隔腫瘍生検を施行され, 性腺外胚細胞腫と診断された. 採血上AFP 74.6 ng/ml, hCG <1.2 mIU/ml, LDH 564 IU/lであった. すでにこの時点で多発骨転移を認めており, EP療法(etoposide+cisplatin;肺障害を考慮しbleomycinは使用せず)を開始した. 1コース終了後のCT検査では縦隔から左肺下葉の腫瘍の増大を認め, 頭皮下の転移も疑われた. 病理の再検討目的に胸腔鏡下胸膜生検を施行し, 救済化学療法目的に当院当科へ転院となった. 胸膜生検の免疫染色の結果, Vimentin+, Melan-A+, HMB45-, CD99/MIC2+, S100+, AE1/AE3+であり, 淡明細胞肉腫が疑われた. 後日, FISH法でEWSR1のsplit signalが18%検出された. 胸腔内腫瘍や胸水貯留による呼吸困難で切迫した状況であったため, 腫瘍の早期縮小を見込んだ切除不能非円形肉腫の一次治療としてAI療法(doxorubicin+ifosfamide)を開始した. 発熱性好中球減少症, 薬剤性膀胱炎, 胸水貯留による呼吸困難等を認め, 2コース目から両薬剤とも20%減量, 3コース目終了後のCT検査後, 呼吸不全の悪化により死亡した.
【考察】本症例は, 若年男性に生じた縦隔発生の淡明細胞肉腫であった. 縦隔原発の淡明細胞肉腫は非常に稀であり, 若年男性の正中線上の腫瘍であること, 病理所見が淡明な胞体をもつ異型細胞であることから, 当初性腺外胚細胞腫と診断された. さらに淡明細胞肉腫としては, メラノーママーカーの低発現や, EWSR1陽性率低値, 上皮性マーカーの発現もみられた非典型例であった. 淡明細胞肉腫の個別治療は確立されておらず, 縦隔から胸腔内の腫瘍増大を認めた本症例では, 腫瘍の縮小を目指し, AI療法を選択したが, 短期間の病勢制御しか得られなかった. 縦隔原発の淡明細胞肉腫は稀ではあるが, 早期診断・治療のため, 縦隔腫瘍の鑑別の1つとして挙げることが必要であると考えられた.

キーワード

臓器別:肺・縦隔・胸膜

手法別:診断

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