演題抄録

デジタルポスター

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

肺癌術前化学療法中に大腸憩室穿孔を発症した1例

演題番号 : P146-4

[筆頭演者]
高橋 正彦:1 
[共同演者]
西川 敏雄:1、森 雅信:1、岡林 孝弘:1、井上 文之:1

1:井上病院・呼吸器外科

 

【緒言】肺癌化学療法により、嘔気嘔吐や食欲不振などの消化器症状は高頻度に出現するが、大腸憩室穿孔は稀である。今回我々は術前補助化学療法中に大腸憩室穿孔を発症した肺癌症例を経験したので報告する。【症例】症例は48歳男性、約1年前より胸痛あり。既往歴、家族歴に特記すべき事項なし。2016年12月胸痛が増悪するため当院を受診し、胸部CT検査にて左肺門部に腫瘤を認めた。気管支鏡検査にて扁平上皮癌と診断した。他の画像検査にて縦隔肺門リンパ節転移を認めるが遠隔転移はなく、cT2bN2M0 stage ⅢAであった。しかし腫瘍が肺門部にあり肺動脈切離断端のmarginが十分確保できないと思われ、術前補助化学療法(シスプラチン+ドセタキセル)を行うこととした。化学療法2コース目Day4、突然の発熱と腹痛あり、採血にて白血球3200/μl、CRP 26.4mg/dLであり、腹部CT検査にて上行結腸憩室穿孔および後腹膜腔に膿瘍を認めた。膿瘍は後腹膜腔に限局していたため保存的治療を行い、数日で軽快した。化学療法2コースにより腫瘍は縮小し、肺動脈切離断端のmarginが十分確保されると判断し、H29年2月左肺全摘ND2a-1を行った。病理組織学的検査にて切除断端は陰性であり、病理病期はpT2bN2M0 stageⅢAであった。術後経過は良好で、術後第13病日退院した。現在UFT内服にて経過観察している。【考察】化学療法による急性腹症の発生は、白血病では0.5~5%と報告されているが、固形癌では稀である。肺癌に対するシスプラチン+ドセタキセルによる化学療法において、嘔気嘔吐や食欲不振などの消化器症状は高頻度に出現するが、大腸憩室穿孔を含め、急性腹症の発症は稀である。大腸憩室穿孔の原因は、化学療法による骨髄抑制状態が憩室炎を悪化させ穿孔に至ったと考えられた。診断については腹部CT検査が有用であった。大腸憩室穿孔に対する治療について、膿瘍が後腹膜腔に限局していたため保存的治療を行った。化学療法2コースにて十分な効果がえられたので手術を施行した。術後治療について、大腸憩室を切除して化学療法を追加することも検討したが、手術的に完全切除がなされているためUFT内服とした。【結語】術前補助化学療法により大腸憩室穿孔を来した肺癌症例を報告した。診断には腹部CT検査が有用であった。

キーワード

臓器別:肺・縦隔・胸膜

手法別:化学療法

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