演題抄録

デジタルポスター

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

肺腺がん術後・癌性髄膜炎に対しOmmaya reservoirを使用しMTX髄注を施行した一例

演題番号 : P146-3

[筆頭演者]
星野 舞:1 
[共同演者]
酒井 元:1、林 智康:2、小川 歩:2、田沼 浩太:2、大原 まみか:2、阿部 善彦:2、上田 真裕:2、三枝 慶一郎:2、岸野 竜平:2、船越 信介:1、中澤 敦:2、廣瀬 茂道:3、塚田 信廣:2

1:社会福祉法人恩賜財団済生会支部東京都済生会東京都済生会中央病院・腫瘍内科、2:社会福祉法人恩賜財団済生会支部東京都済生会東京都済生会中央病院・消化器内科、3:社会福祉法人恩賜財団済生会支部東京都済生会東京都済生会中央病院・病理診断科

 

症例は64歳男性。2010年3月肺腺がん(pT2aN1M0 StageⅡA)に対して左肺上葉切除術を施行後、術後補助化学療法としてCDDP+VNR療法を計4コース施行された。2016年1月より頭痛、眩暈、耳鳴りなどの症状が出現し、近医脳神経外科を受診するも異常なしと診断された。同年10月頃より一過性意識障害を頻回に認め、12月に精査・加療目的で当院入院。頭部造影CTおよびMRI検査にて特記すべき所見を認めなかったが、髄液検査施行した所、髄液圧は高値、細胞診の結果はClass Ⅴ、免疫染色により腺癌細胞を認めたことから、肺がん術後転移による癌性髄膜炎と診断した。抗てんかん薬やグリセオール、マンニトールなどの内科的治療は無効であり、脳神経外科と相談し、12月21日腰椎腹腔短絡術を施行。その後2017年2月に再度頭部造影MRI検査を施行した所、右優位に髄膜の造影効果増強が認められ、画像上も癌性髄膜炎に矛盾しない所見が得られた。患者と家族の強い希望もあり、Ommaya reservoirを右室脳室前角内に留置の上、同リザーバーを使用し同年3月よりMTX髄腔内投与(週2回・MTX 20mg/body)および全脳照射(計30Gy)を開始した。その結果、以前認めていた症状は完全に消失し、患者のADLは劇的に改善した。
肺がんにおける癌性髄膜炎の発生頻度は1.4%程度と比較的少ないが極めて予後不良であり、生存期間中央値は無治療で4~6 週、治療群でも2~3 カ月と報告されている。また患者のQOL を極端に低下させるため、その早期診断と治療の介入が重要である。即ち、癌性髄膜炎の治療で予後延長を期待することは困難であり、QOL の向上を目的とした治療を考慮すべきと考えた。そこで我々は患者および家族と相談し腰椎腹腔短絡術を施行した後に、全脳照射と並行してOmmaya reservoirを用いたMTX髄腔内投与を開始した。結果、治療に伴う有害事象を認めず、神経症状は全て消失し、QOLも明らかに向上した。固形腫瘍における癌性髄膜炎に対する抗がん剤髄腔内投与は、予後の面ではエビデンスレベルの高い治療では無いが、QOLを向上させる可能性があり、患者の状態によっては考慮すべき治療法と考えられる。

キーワード

臓器別:その他

手法別:化学療法

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