演題抄録

デジタルポスター

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

がん診断後の医療保険の切り替えは就労状況の把握のための代理指標となるか?

演題番号 : P106-1

[筆頭演者]
森島 敏隆:1 
[共同演者]
松本 吉史:1、中田 佳世:1、田淵 貴大:2、中山 富雄:2、宮代 勲:1

1:大阪国際がんセンター・がん対策センター 政策情報部、2:大阪国際がんセンター・がん対策センター 疫学統計部

 

【背景】 仕事とがん治療を両立できないがん患者が多いことが社会問題となっている。厚生労働省研究班が10年ぶりに行った2013年のアンケート調査によると、給与勤務者の34%が診断後に退職する。2016年にがん患者の雇用継続への配慮を事業主の努力義務とする改正がん対策基本法が施行されたことから、改正後の就労状況の把握が重要となる。

【目的】 他のデータの二次利用で観察することのできる公的医療保険の加入状況が、がん患者の就労状況の代理指標となるかどうかを検証すること。

【方法】 国または大阪府指定がん診療拠点の5病院からDPCデータ、大阪府から地域がん登録資料を入手して、両データを患者個人レベルで連結した。前者から保険者番号とレセプト種別を、後者から性と診断時年齢とがん診断年月を収集した。研究対象は2010年4月~2012年12月に5病院でがんと診断され、診断の前後ともに保険が把握できる診断時65歳未満の患者とした。解析を3つ行った。①がん診断後に保険を切り替えた患者の割合を算出し、切り替えた患者の切替前後各々の保険を被用者保険の被保険者本人(以下、被用者保険本人)や市町村国民健康保険などに分類した。②亜群解析として、診断前の保険が被用者保険本人だった患者が診断後に保険を切り替えた割合と、性・年齢階級別の層別化割合を算出した。③被用者保険本人から診断後に保険を切り替えた患者のがん診断から切替までの月数の患者数分布を調べた。

【結果】 解析対象は2847人、観察期間は平均28.9月。診断後に保険を切り替えた患者は33%(930人)だった。切替前後の保険の分類では最多は被用者保険本人から市町村国民健康保険への切替(232人)だった。②解析対象は1272人、観察期間は平均29.2月。診断後に保険を切り替えた患者の割合は33%(415人)、性別では女性のほうが割合が高く、年齢階級別では55~64歳が最高で、45~54歳が最低だった。③保険を切り替えた415人に関する切替までの月数の分布は、診断から時間が経過するにつれ漸減する傾向にあったが、診断から整数年経過する各直前に小ピークを認めた。

【結論】 がん診断後に保険を被用者保険本人から切り替える患者の割合は既存調査の結果と同様だった。患者の就労状況を把握する上で、DPCデータと地域がん登録資料の連結データから見える医療保険の加入状況は代理指標として使える客観的なデータである可能性が示唆された。

キーワード

臓器別:その他

手法別:患者支援

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