演題抄録

デジタルポスター

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

乳癌術前化学療法前の免疫微小環境モニタリングによる腋窩リンパ節郭清省略の可能性

演題番号 : P10-7

[筆頭演者]
高田 晃次:1 
[共同演者]
柏木 伸一郎:1、後藤 航:1、浅野 有香:1、森崎 珠実:1、野田 諭:1、高島 勉:1、小野田 尚佳:1、平川 弘聖:1、大平 雅一:1

1:大阪市立大学・大学院・腫瘍外科

 

【背景】近年,治療前の癌免疫微小環境が免疫療法のみならずその他の治療の効果にも影響すると考えられており,そのモニタリングの重要性が示唆されている.免疫微小環境モニタリングの指標として腫瘍浸潤リンパ球 (TILs) の有用性が示されており,乳癌術前化学療法 (NAC) の効果予測に関与するとの報告もなされている.一方,乳癌手術におけるセンチネルリンパ節生検 (SN) による転移診断は,正確な腋窩ステージングに寄与するため標準的に施行されるようになった.しかしながらNAC後のSNの評価は,NACの修飾により同時手術と比べて偽陰性率が高くなることが前向き臨床試験の結果より示されている.そのため当施設においては,NAC前にSNを先行し組織学的な診断をつけた上でNACを施行,その後乳房手術に至る遂次療法を行なっている.NAC施行前に正確な病理診断が行なえる一方で,腋窩リンパ節転移陽性例では陰転化症例に対して不要な腋窩リンパ節郭清を加えてしまう可能性も否定できない.今回われわれは,NAC前のTILsの評価により,NAC後の腋窩リンパ節郭清の省略が可能かどうかを検討した.
【対象と方法】2009年8月から2016年7月に当施設において,針生検により乳癌の確定診断が得られたcT1-2, N0, M0の症例に対して,NAC前にSNを施行した91例を対象とした.SNは,ラジオアイソトープと色素の併用法にて施行した.SN転移はその最大径によってマクロ転移 (2 mmを超える),微小転移 (0.2 mmから2 mmまで) および遊離癌細胞 (0.2mm 以下) に分類し,マクロ転移を転移ありと判定した.
【結果】先行SN施行91例のなかで16例 (17.6 %) に転移が確認されたため,NAC後に腋窩リンパ節郭清を追加した.腋窩リンパ節郭清施行症例のうち,原発巣の針生検標本にて高TILs群は12例 (75.0 %),低TILs群は4例 (25.0 %) であった.また腋窩リンパ節郭清症例において,NAC後に腋窩リンパ節転移の残存は4例 (25.0 %) に認められたが,原発巣の腫瘍径,転移巣の最大径や治療効果との相関は認められなかった.しかしながら原発巣の針生検標本で低TILsであった4例のうち3例で腋窩リンパ節転移が有意に認められた (p=0.005).
【結語】乳癌NAC前のCNB標本において高TILsの浸潤が認められる症例は,NAC後のリンパ節転移が有意に少なかった.すなわち癌免疫微小環境が良好な症例では,NAC後の腋窩リンパ節郭清が省略できる可能性が示唆された.

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:腫瘍免疫

前へ戻る