デジタルポスター
|
||
Triple negative乳癌(TNBC)に対する術前化学療法の現状と課題 演題番号 : P10-5
1:独立行政法人国立病院機構大阪医療センター・乳腺外科、2:独立行政法人国立病院機構大阪医療センター・外科、3:独立行政法人国立病院機構大阪医療センター・放射線科、4:独立行政法人国立病院機構大阪医療センター・病理学
【背景】Triple negative乳癌(TNBC)は、一般的に抗癌剤感受性はよいとされている。しかし近年、マイクロアレイをはじめとする遺伝子解析の結果から、多様性のあるサブタイプであることが指摘されており、実際に臨床の場でも、抗癌剤抵抗性を示すものが経験され、治療に苦慮することも多い。そこで今回、当院で術前化学療法を施行したTNBCの治療成績を検討した。
【対象】2003年11月から2016年4月に術前化学療法(アントラサイクリン系およびタキサン系の使用を計画)を施行した原発性TNBC 119例(T1c-T3, N0-2)。 【方法】後方視的に臨床病理学的因子、臨床効果、病理組織学的効果、予後についてカルテ情報を収集し解析した。 【結果】年齢の中央値は51歳(30-75)であった。腫瘍径は、T0 1例(0.8%)、T1 17例(14.3%)、T2 83例(69.7%)、T3 10例(8.4%)であり、中央値29.0mm(10-80)に分布した。リンパ節転移状況は、N0 68例(57.1%)、N1 42例(35.3%)、N2 5例(4.2%)であった。組織学的Grade(B&R)はGrade1 2例(1.7%)、Grade2 35例(29.4%)、Grade3 71例(59.7%)、不明 11例(9.2%)であった。 アントラサイクリン系とタキサン系の両者を投与できたのは111例であった。前半治療でPDになった症例は9例(アントラサイクリン系3例、タキサン系6例)であった。全例後半治療に移行し、薬剤変更後はCR 1例、PR 3例、SD 1例、PD 4例となった。両薬剤ともにPDであった4例では全例再発を認めた。 術前の臨床的効果判定は、CRが40例(33.6%)、PRが52例(43.7%)、SDが8例(6.7%)、PDが9例(7.6%)、不明 2例(1.7%)であり、奏効率は77.3%であった。薬剤変更後にnon-PDからPDへ移行した症例は5例(前半治療でPRが3例、SDが2例)であり、2例で再発を認めた。 病理学的効果判定は、DCISの残存していないpCR(SpCR)は32例(26.9%)、DCISの残存しているpCR(CpCR)例は42例(35.3%)であった。 【結語】当院の治療成績を検討した。今後の課題として、術前化学療法でPDとなった症例に対して適切な治療を行うために、このような症例を選別する方法を検討する必要があると思われた。 |
||
|