演題抄録

デジタルポスター

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

乳癌術前化学療法におけるpCR の臨床的意義

演題番号 : P10-4

[筆頭演者]
藤田 倫子:1 
[共同演者]
柳沢 哲:1、井口 千景:1、青野 豊一:1、野村 孝:1、中谷 裕子:1、廣瀬 富紀子:1、小澄 宏美:1、芝 英一:1

1:大阪ブレストクリニック

 

【背景/目的】 乳癌術前化学療法(NAC)におけるpathological complete response(pCR)は、化学療法への反応性を反映するが、予後との関連はsubtypeにより異なると報告されている。今回、当院のNAC症例におけるpCRと予後の関連や再発例をsubtype毎に評価することで、NACにおけるpCRの臨床的意義を検討した。
【方法】2010年より2015年までに手術を行った1947例のうち、術前化学療法を行った213例を対象とし、以下の3つの検討を行った。①subtype毎のpCRの割合、②subtype毎のpCRとnon-pCRの術後50ヶ月の無再発生存率(DFS)、術後50ヶ月の全生存率(OS)、③pCRであったが再発した症例の時期と再発様式、subtype。
【結果】観察期間中央値は34ヶ月(3~82か月)であった。①原発巣、リンパ節ともに癌が消失したpCR (ypT0ypN0)は55例(26%)、一部乳管内病巣がみられたpCR (ypT0/isypN0)は68例(32%)、原発巣の癌は消失したが、リンパ節に一部残存したpCR (ypT0/isypN0/+)は80例(38%)であった。ypT0/isypN0をpCRと定義するとLuminal 8% (6/79)、Luminal-HER 38% (14/37)、HER2 type 69% (33/49)、Triple negative (TN) 31% (15/49)で、HER2 typeでpCRが多かった。
②全体ではpCRとnon-pCRのDFSは各々89% vs 86% (p=0.10)、OSは100% vs 95% (p=0.31) であった。LuminalではDFSは100% vs 89% (p=0.27)、OSは100% vs 99% (p=0.55)。Luminal-HER ではDFSは70% vs 91% (p=0.69)、OSは88% vs 100% (p=0.20) 。HER2 typeではDFSは96% vs 79% (p=0.047)、OSは100% vs 77% (p=0.053)。TNではDFSは100% vs 81% (p=0.10)、OSは100% vs 90% (p=0.42)。HER2 typeにおいてDFSで有意に良好、OSで予後良好な傾向、TNにおいてDFSで良好な傾向を認めた。その他のsubtypeではDFS、OSに差を認めなかった。
③pCR症例(68例)中6例で再発を認めた。再発様式は局所再発(乳房)3例(4%)、遠隔再発3例(4%)であった。乳房内再発3例中2例がHER2 type、1例がホルモン感受性の弱いLuminal (ER3/8,PR2/8)で再発した時点ではTNであった。遠隔再発はHER2 type 1例、Luminal-HER 2例であった。
【結語】HER2 typeでpCR率が高かった。HER2 typeやTNではpCRは予後との関連を認めたが、その他のsubtypeでは予後の指標とならなかった。pCR後の再発例はHER2陽性に多く、HER2 typeにおいてはpCR症例は予後良好であるものの再発も比較的多いため注意深いフォローアップが必要である。

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:化学療法

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