演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

胆道癌に対する手術治療の現状と展望

演題番号 : OSY3-3

[筆頭演者]
平野 聡:1 
[共同演者]
岡村 圭祐:1、野路 武寛:1、中西 善嗣:1

1:北海道大学・大学院医学研究科・消化器外科II

 

胆道癌に対する外科治療は歴史的に着実な進歩・発展を遂げ、術後合併症率や手術関連死亡率は徐々に低下してきたものの、その生存率にみる治療成績は他の消化器癌に比較していまだ不良であり、難治癌のとしての位置付けに変更はない。
近年、多くの消化器癌領域で化学療法を中心に様々な非手術療法が治療成績向上に寄与している中、胆道癌においては手術療法が担う役割は以前と変わらず大きい。ここ20年程は周術期管理の進歩や術式の標準化も相まって、高度侵襲手術が低い手術関連死亡率のもとに行えるようになった。
胆道癌の特徴である胆管水平方向の進展に対する最大の切除術式は膵頭十二指腸切除術(HPD)を伴う肝葉切除であり、垂直方向進展における拡大切除は肝葉切除に伴う門脈・肝動脈のそれぞれ、あるいは両者の合併切除・再建である。いずれも近年の周術期管理の進歩、および技術の安定化でいくつかの良好な成績が報告されている。しかし、HPDの術後合併症率はいまだ高く、血管合併切除のなかでも門脈合併切除術は生存率向上に有用な可能性が示唆されるものの、動脈合併切除術の有用性を示すエビデンスは少ない。
特殊な適応として、胆道癌切除後の再発症例でR0切除が可能な限局性病変に対する手術治療が行われている。適応の判断には切除そのものの根治性とともに、手術の時期、侵襲度、術後の化学療法の認容性維持などに関し十分な検討が必要である。さらに、膵癌同様、胆道癌の切除不能例に対しても化学療法が長期間奏功した症例に対し、conversion surgeryを行うことで予後を改善できる可能性がある。しかし、最近では閉塞性黄疸に対してEMSが使用されている場合も多く、手術への影響が懸念される。
胆道癌領域における低侵襲手術としての腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術は未だconsensusにはほど遠く、臨床試験ベースで経験の蓄積を行う段階である。
胆道癌領域の手術治療において、その手術難度の高さと周術期管理の重要性が明らかであり、術者を含む外科チームにはそれらに対する一定以上の技量が担保されるべきである。従来のOJTによる修練のみならず、新たな教育と技術検証システムの構築が必要と思われる。

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