演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

胆道癌における内視鏡診断と胆道ドレナージ

演題番号 : OSY3-1

[筆頭演者]
露口 利夫:1,2 
[共同演者]
杉山 晴俊:2、加藤 直也:1

1:千葉大学・大学院医学研究院・消化器内科学、2:千葉大学・医学部附属病院・内視鏡センター

 

ERCPをはじめとした直接胆道造影は空間分解能に優れた画像が得られると同時に胆道ドレナージを施行できることが利点である。しかし、腹部エコー、造影CT、MRCPなど非侵襲的な画像診断により胆道癌術前情報の多くを得ることができるようになった。このため直接造影検査はその適応を選んで行われており、特にPTCは播種や瘻孔再発のリスクのため適応が限定されている。一方で胆管癌として手術を受けた症例の10%弱が良性疾患であることから内視鏡的な細胞診、組織診を行うことが推奨されている。胆管癌との鑑別を要する良性疾患として原発性硬化性胆管炎、IgG4関連硬化性疾患などがあげられる。特に原発性硬化性胆管炎は経過中に胆管癌を合併することがあり造影CTやPET-CTでも鑑別は容易ではない。一般にERCPによる病理診断能は感度80%程度とされ、sampling errorなどによる偽陰性が一定の割合で存在し、経口胆道鏡による直視下生検・直接観察が診断向上に役立つ。胆道鏡では良悪性診断だけでなく胆管癌の水平浸潤範囲を診断する能力に長けていることがあげられる。直視下生検による進展範囲診断は他に代わりうる方法のない検査法といえる。もう一つの方法としてEUS-FNAによる生検があげられる。感度84%と良好であり、ERCPで診断できない場合の補助的診断法として有用である。ただし、胆管内腔、胆嚢内腔を穿刺すると胆汁性腹膜炎、播種の恐れがあり、腫瘤本体ならびに周囲リンパ節を穿刺するようにしなければならない。
本邦では胆道癌術前における減黄処置は一般的であり胆道ドレナージを兼ねてERCPが行われてきたが、術前減黄の必要性自体が疑問視されている。特に遠位胆管癌に対するドレナージについてはcontroversyとなっている。しかし、広範囲肝切除を伴う胆道癌に対しては術前減黄術が推奨されている。何故ならば術後合併症として肝不全が依然多く術前胆管炎の存在は在院死亡に関連するためである。本邦ではENBDによる外瘻での減黄術が一般的であり内瘻化は術前留置期間が長期になる症例に限られている。また、PTBDによるドレナージは前述した瘻孔再発のリスクから適応は限られてきている。
切除不能例に対する胆道ドレナージには内視鏡的内瘻術が推奨される。遠位胆管癌では金属ステントが推奨されているが肝門部領域胆管癌ではプラスチックステントによるドレナージも症例、施設の方針によって選択肢になりうる方法である。

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