演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

腎癌の再発後治療戦略 ―現況と展望―

演題番号 : OSY12-6

[筆頭演者]
江藤 正俊:1 

1:九州大学・大学院医学研究院・泌尿器科学分野

 

 腎癌の再発後の治療戦略について述べるには、まず腎癌の再発の特徴について述べる必要がある。腎癌の再発における特徴の一つに遅延型再発[late recurrence (LR)]がある。LRの明確な基準はないが、通常は限局性腎癌に対する外科治療(根治的腎摘除術や腎部分切除術)から5年以降の再発や転移を指すことが多い。従って5年以内の再発や転移をEarly recurrence (ER)と扱い、本稿では初診時有転移症例については扱わないこととする。
 腎癌のLRは決して稀なイベントではなく、腎摘から10年以上経過してから再発する患者の割合が4.7%から11%との報告もある(J Urol 193:41-47, 2015)。原発巣に対する場合と同様に、腎癌の再発巣や転移巣に対しても可能なら外科手術を行うことに疑う余地はない。しかし、そのような局所に対する外科手術(一部放射線治療を含む)を受けたLRの患者では、全身療法を受けた患者に比して有意にOSやPFSが優っており、LRの患者では外科療法を含めた局所療法の意義が大きいことが示されている(Urol Oncol 34:238e9-238e17, 2016)。
 一方、全身療法においても再発の時期によって分子標的薬の奏効率が異なるとの報告もある。LRの患者の特徴として、若年者に多く、sarcomatoid featureが少なく、Fuhrman gradeが低く、clear cellの組織型を示すことが多いとの報告があり、分子標的薬に対する奏効率はERの患者と比して有意に良好だったと報告されている(LR vs ER: 31.8% vs 26.5%, p=0.004)(Eur Urol 65:1086-1092, 2014)。また同じstudyでLRの患者はERに比して有意にPFS (10.7M vs 8.5M, p=0.005)やOS(34.0M vs 27.4M, p=0.004)が優っていることも報告されている。また転移の部位についてだが、LRであっても肝転移や脳転移ではOSが不良で、膵転移では長期生存が期待できることが示された(J Urol 193:41-47, 2015)。本発表では以上のように再発の時期、部位、外科治療、全身療法等の様々な観点から腎癌の再発後の治療戦略について概説する予定である。

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