演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

小径腎腫瘍に対する局所療法

演題番号 : OSY12-5

[筆頭演者]
淺野 友彦:1 

1:防衛医科大学校・泌尿器科学講座

 

我が国においては、2011年7月に小径腎腫瘍に対する凍結療法が保険収載され、ラジオ波焼灼療法の保険収載も現在検討されている。これまで腎腫瘍に対する経皮的局所療法は、腎部分切除術と比べて侵襲度、腎機能温存の点で優れているとされているが、腫瘍の局所制御の点でやや劣るとの報告が多かった(局所再発率 凍結療法 6-13%、ラジオ波焼灼術 2.5-6.5%)。しかしながらこれらの報告は、すべて後ろ向き研究で有り、対象症例、治療に使用された機器、手技の習熟度等が異なっており、この結果については注意深く解釈を行う必要がある。腎癌に対する局所療法後の長期観察例の報告も出てきており、癌特異的生存率、無病生存率は腎部分切除術とほぼ同等とする報告が多いが、2017年度に改定された腎癌診療ガイドラインにおいても、経皮的局所療法の位置づけは、「小径腎腫瘍に対する経皮的凍結療法及びラジオ波焼灼術等の局所療法は、高齢者、重篤な合併症を有する high risk 患者、手術療法を希望しない患者等に対しては推奨される」(推奨グレードC1)とこれまでの推奨グレードに変化はない。当施設でラジオ波焼灼術で不完全焼灼に終わった患者2名において、治療後に残存腫瘍の浸潤性増殖、静脈浸潤、遠隔転移の出現を認めており、ラジオ波焼灼療法との因果関係は明らかではないものの、腫瘍径、存在部位等を考慮し、局所療法の選択はなお慎重に行われるべきであると考えている。また、高齢者、手術リスクの高い患者においては、小径腎腫瘍に対する治療法として監視療法との有用性の比較も必要であろう。現在、小径腎腫瘍に対して、腎部分切除術、凍結療法、ラジオ波焼灼術の3つの治療群に振り分ける前向きランダム化試験が進行中であり、その結果の報告が待たれる。

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