演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

手術/治療

演題番号 : OSY12-4

[筆頭演者]
冨田 善彦:1 

1:新潟大学・大学院医歯学総合研究科・腎泌尿器病態学・分子腫瘍学

 

2008年に腎癌治療に使用が可能となったソラフェニブをはじめとする分子標的薬は、治療戦略を大きく変えることになり、実際、進行症例の生存期間は延長した。しかし、長期のCRとなることはきわめて稀であり、現時点でも、(切除が可能であれば)手術による摘除が最も有効な治療であることに変わりはない。
1.原発巣に対する治療の現状
原発巣に対する手術療法についてディスカッションのあるポイントは、切除範囲(全摘vs部分切除)とModality(開放、腹腔鏡下、ロボット補助下手術)である。cT1aへの部分切除、全摘に対する腹腔鏡下手術、一定の術者条件を満たした際の腹腔鏡下、ロボット補助下腎部分切除術はコンセンサスが得られていると考えてよい。また、分子標的薬は原発巣の縮小ももたらすことが明らかとなったため、術前補助療法としても検討されてきた。これまでの結果から、もっともpromisingな結果を示しているのはアキシチニブであるが、それでも、術前の縮小は限定的であり、少数例では術前投与中に増大することも知られている。したがって、現時点で高いエビデンスレベルの術前補助療法は存在しない。
さらに、有転移症例でも原発巣摘除が予後の改善に有用であるエビデンスはサイトカイン時代には存在したが、分子標的薬時代では明らかではない。
2.転移巣に対する治療の現状
転移巣に対する治療は、総体的に予後を延長させることが期待されているが、これまでの後ろ向き研究の結果からは、いくつかの条件を満たした時に有用であることが明らかになっている。
3.将来の展望
2016年8月より、新規免疫療法薬であり、免疫チェックポイント治療薬のニボルマブが進行例に保険適応となった。2次治療以降、単独療法での承認であるが、現在進行中の開発治験、特に分子標的薬と免疫チェックポイント治療薬の併用は1次治療での奏効率が70%を超えるものもあり、腫瘍縮小効果は格段に上がっている。原発巣や、oligometastasisに対する縮小効果はいまだ明らかになっていないが、この併用療法を術前補助療法として用いるなど、手術をめぐる治療戦略が大きく変化する可能性があると思われる。

前へ戻る