演題抄録

臓器別シンポジウム

開催概要
開催回
第55回・2017年・横浜
 

腎癌の予防と診断

演題番号 : OSY12-1

[筆頭演者]
舛森 直哉:1 

1:札幌医科大学・医学部・泌尿器科学講座

 

腎癌の発生には、肥満、喫煙、高血圧、高血糖などが危険因子として関与する。したがって、これらの予防や制御が腎癌の罹患率の低下に寄与する可能性はあるが、証明はされていない。一方、VHL病やBHD症候群では、それぞれ、VHL遺伝子、FLCN遺伝子のgermline mutationにより、遺伝性腎癌を高率に発症する。遺伝カウンセリングとともに、早期発見のためのスクリーニングが推奨される。また、適切な検査方法や検査間隔は確立していないものの腎癌の発生頻度が高い長期透析患者においてもスクリーニングが考慮される。
腎癌の早期発見や診断のためには、腹部超音波断層法やCT検査を使用する。本邦における腎癌の罹患率は年々上昇傾向にあるが、この要因のひとつとして、検診や他疾患精査中の画像診断にて偶然発見される腎癌が増加していることが挙げられる。一方、排泄性尿路造影では小径腎腫瘍の検出は不可能であり、FDG-PETの有用性も確立していない。
造影CT上、腎癌、特に、最も頻度の高い淡明細胞癌では、腫瘍は不均一に造影され、排泄相で造影剤はウォッシュアウトされる。しかし、直径が4 cm以下の小径腎腫瘍では、5-10%程度に混在する血管筋脂肪腫などの良性腫瘍の鑑別も含めて、画像上の診断に苦慮することがある。画像上、悪性の可能性が低いと判断された場合は、経時的な腫瘍サイズの変化を観察する場合もあるが、最近では、経皮的腫瘍生検により良性腫瘍を積極的に除外して、不要な手術を回避する症例も増加している。一方、腎摘除術の予定のない転移性腎癌においては、適切な治療薬を選択するために生検を行うこともある。
診断時の臨床所見と検査所見により、予後の予測が可能である。MSKCC分類、IMDC分類およびJMRC分類では、複数の所見を組み合わせて予後の予測が試みられている。なお、本邦においては、予後予測、病勢の反映、さらには、転移巣摘除の是非の判定のためにCRPが用いられることが多い。特定の薬剤の効果予測因子としては、TKIでは投与後の高血圧、手足症候群、甲状腺機能低下症などの副作用と予後との関連が報告されている。今後は適切なバイオマーカーの確立が望まれる。

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